坂手洋二

坂手洋二（さかて ようじ）

坂手洋二（1962年3月11日生まれ）は、日本の劇作家であり、劇団「燐光群」の主宰者として広く知られています。日本演出者協会の理事や、岸田国士戯曲賞の選考委員としても活動しており、日本の演劇界に大きな影響を与えています。

略歴と人物

坂手は岡山県岡山市で生まれました。岡山県立岡山芳泉高等学校を卒業後、慶應義塾大学の文学部に進学します。大学在学中に山崎哲の「転位・21」に参加した経験を活かし、1983年に劇団燐光群を旗揚げしました。彼は『黄色犬』で劇作家としてデビューし、以来、左翼的な視点を持つ前衛劇を数多く作・演出しています。

特に、1987年に発表された『カムアウト』が彼の名を広める契機となりました。坂手の作品は、社会的なテーマを扱うことが多く、時にはラフカディオ・ハーンを題材にした作品（例：『神々の国の首都』）にも取り組んでいます。また、昭和天皇の戦争責任に関連するテーマを扱った『光文63年の表具師幸吉』や『トーキョー裁判』、さらには『天皇と接吻』なども評価されています。

彼は2006年から2016年まで日本劇作家協会の会長を務め、演劇創作における新たな可能性を探求してきました。

賞歴

坂手洋二の作品は数々の賞を受賞しています。1991年には『ブレスレス ゴミ袋を呼吸する夜の物語』で岸田國士戯曲賞を獲得。1999年には『天皇と接吻』で読売演劇大賞の最優秀演出家賞を受賞しました。2002年には紀伊國屋演劇賞の個人賞、さらには『屋根裏』で読売文学賞戯曲・シナリオ賞を受け、その年の読売演劇大賞で最優秀演出家賞をも受けています。2004年には『だるまさんがころんだ』で朝日舞台芸術賞を受け、翌年には同作で鶴屋南北戯曲賞も受賞しました。

刊行作品

坂手の主な著作には、以下の作品があります。

• - トーキョー裁判/危険な話 offside （而立書房 1991年）
• - ブレスレス/カムアウト （而立書房 1991年）
• - 火の起源 （而立書房 1994年）
• - 青空のある限り （而立書房 1996年）
• - くじらの墓標 （而立書房 1998年）
• - 天皇と接吻 （カモミール社 2001年）
• - 最後の一人までが全体である （れんが書房新社 2003年）
• - 私たちはこうして二十世紀を越えた （新宿書房 2003年、評論集）
• - だるまさんがころんだ （カモミール社 2005年）
• - 坂手洋二 1 屋根裏/みみず （早川書房 2007年）
• - 坂手洋二 2 海の沸点/沖縄ミルクプラントの最后/ピカドン・キジムナー （早川書房 2008年）

坂手洋二は、力強いメッセージ性を持つ作品を通じて、日本の社会や歴史を深く掘り下げることに挑んでいます。彼の作品は観る人々に深い思索を促し、演劇の持つ力を再認識させるものです。

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