坂本一雪

坂本一雪（さかもと かずゆき）は、1974年3月26日生まれの日本の映像ディレクター、脚本家、そしてゲームデザイナーです。大阪芸術大学を卒業後、多岐にわたるクリエイティブ活動を展開してきました。

彼のキャリアにおいて特に重要な位置を占めるのが、人気オリジナルビデオシリーズ『ほんとにあった! 呪いのビデオ』（通称：ほん呪）です。キャリアの初期には撮影・編集としてシリーズに参加（第8巻〜第10巻、Special 2）し、当時監督に抜擢された松江哲明氏と共に、従来のホラービデオとは一線を画す新しい手法を取り入れ、シリーズの方向性を模索しました。松江氏がシリーズを離れた後、坂本氏は自身で構成・演出（実質的な監督）を担当するようになります（第11巻〜第15巻、Special 3〜Special 5）。

坂本氏が監督を務めた時期の『ほん呪』シリーズは、その独自の演出スタイルによって特に高い評価を得ています。彼は、いわゆる「演出補」と呼ばれるスタッフを積極的に画面に登場させることで、視聴者により一層の臨場感とドキュメンタリー性を感じさせるスタイルを確立しました。これは、それまでのシリーズにもスタッフの登場はありましたが、坂本氏の作品ほど明確な意図をもって頻繁に行われるものではありませんでした。こうした斬新なアプローチは、シリーズ全体の不気味な雰囲気を維持しつつ、より現実味のある恐怖を生み出し、『ほん呪』が長年にわたる人気シリーズへと発展していくための強固な基礎を築いたと言えます。実際に、彼が手掛けたエピソードの中から、「中古ビデオ」「疾走！」「井戸」といった代表的な映像は、現在でもテレビの心霊特集やYouTubeなどでしばしば引用され、広く伝播しています（『実録！呪われた心霊体験1 怨霊激撮100連発！！』収録の「テケテケ」なども同様に知られています）。

『ほん呪』以外にも、坂本氏は数多くのホラー作品を手掛けています。オリジナルビデオシリーズ『怪奇！アンビリーバブル』や、『こっくりさん 日本版』、『呪われた心霊体験』シリーズなど、様々な作品で監督を務め、ホラー映像の分野でその才能を発揮しました。劇場公開作品としては、2004年に公開された『日野日出志のザ・ホラー怪奇劇場 - 第二夜 恐怖列車』で監督デビューを果たしています。

映像制作にとどまらず、ゲーム分野でも活動を展開しています。G-modeで配信されたフィーチャーフォン向け恋愛アドベンチャーゲーム『彼なりの純愛』では、企画およびプロデューサーを務めました。また、ゲーム『勇者死す。』の制作サポートにも携わっています。

坂本氏は、現代の映像記録媒体がデジタルへと移行する潮流に対して、8ミリフィルムのようなアナログ媒体が持つ文化的な価値を重んじており、その存続を願う活動にも積極的に関わっています。また、後進の育成にも力を入れており、講師として若い世代に撮影手法などを教えるなど、映像文化の継承にも貢献しています。2012年には、自身の制作拠点となる合同会社ぬらりひょんを設立しました。

近年は、活動の幅をさらに広げ、スマートフォン向けのゲームやアプリケーションのプロデュース・開発にも注力しています。例えば、『毎日の耳かき』や『激おこプーチソ丸』、『マンボウってすぐ死ぬよね』といった作品を手掛けています。

しかしながら、ホラー映像の世界との繋がりが途絶えたわけではありません。『ほんとうに映った!監死カメラ』シリーズでは、2012年から監修として名を連ねており、現在もその専門知識と経験を生かしています。

このように、坂本一雪氏はホラー映像の分野、特に『ほんとにあった! 呪いのビデオ』シリーズにおいて、その独自の演出手法で革新をもたらし、シリーズの発展に大きく貢献しました。同時に、ゲーム開発や映像文化の継承にも情熱を注ぐ、多角的な才能を持つクリエイターです。

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