坂本充

坂本充氏は、1980年10月7日に福岡県で生まれた元プロ野球選手です。現役時代のポジションは外野手でした。

野球との関わりは、小学6年生から始まり、中学時代には投手を務めていました。その後、九産大九州高校に進学し、ここでは四番打者、そして中堅手としてチームを牽引しました。

高校卒業後、坂本氏は日本の大学ではなく、アメリカ合衆国へ渡り、インディアンヒルズ短期大学へ野球留学をします。異国の地で野球の技術を磨き続けた彼は、続いてアリゾナウェスタン短期大学へ編入しました。この編入先での活躍は目覚ましく、リーグ戦で打率.420という高打率を記録して首位打者のタイトルを獲得。さらに、その才能が認められ、全アリゾナ代表チームにも選出されるなど、アメリカの大学野球界でその名を馳せました。

アメリカでの類まれなるパフォーマンスが、メジャーリーグ球団のスカウトの目に留まります。そして、2002年のMLBドラフト会議において、コロラド・ロッキーズから24巡目で指名を受けるという歴史的な出来事が起こりました。これは、日本の高校を卒業するまで日本国内で野球を続けた選手が、直接MLBのドラフトで指名されるという、史上初めてのケースでした。当時の評価では、坂本氏は俊足巧打の一番打者タイプであり、メジャーリーグで活躍していたイチロー選手に例えられることもありました。特に、鋭いラインドライブを自在に打ち分ける高度なバッティング技術が高く評価されていました。

ロッキーズからの指名を受け、プロ選手となった坂本氏は、その傘下にあるマイナーリーグでキャリアをスタートさせました。厳しいプロの世界で経験を積み重ね、着実にステップアップし、最高峰である3A（トリプルエー）まで昇格を果たしました。しかしながら、メジャーリーグのロースターに名を連ねることは叶わず、メジャー昇格という夢を果たすことなく、2004年にコロラド・ロッキーズを退団することとなりました。

プロ野球選手としてのキャリアに区切りをつけた後、坂本氏は再び野球界との関わりを持ちますが、それは選手としてではありませんでした。かつて自主トレーニングを共に行った間柄である捕手、城島健司氏が、シアトル・マリナーズへ移籍する際に、その海外挑戦をサポートする役割を担うことになったのです。英語が堪能な坂本氏は、城島氏がメジャーリーグという異文化環境に適応できるよう、英語でのコミュニケーション能力向上をサポートしました。具体的には、2005年11月に城島氏の家庭教師という形でシアトル・マリナーズと契約を締結。さらに翌2006年には、城島氏個人との契約を結び、パートナーアシスタントとして、野球面だけでなく、日常生活全般にわたるサポート活動を行いました。

自身の英語学習経験や、城島氏への指導経験から得た知見を基に、坂本氏は一冊の著書を執筆しました。2007年にあさ出版より刊行された「城島健司をしゃべらせたゼロからの英会話」です。この本は、トップアスリートがメジャーリーグという特殊な環境でどのように英語を習得していったのか、その実践的なアプローチが描かれており、多くの読者にとって興味深い内容となっています。

坂本充氏の経歴は、日本で高校まで過ごした選手として初めてMLBドラフト指名を受けたパイオニアとしての側面、そしてプロ引退後に選手をサポートする立場から野球界に貢献した側面の両方を持ち合わせており、その多様な関わりは特筆すべきものです。

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