坂東彦三郎 (初代)

初代坂東彦三郎の生涯と功績

初代坂東彦三郎（しょだい ばんどう ひこさぶろう）は、1693年に誕生し、1751年に世を去った江戸時代の名高い歌舞伎役者です。彼の屋号は萬屋であり、俳名は薪水です。日本の伝統芸能である歌舞伎の発展に大きな影響を与え、数多くの舞台でその才能を発揮しました。

坂東彦三郎の出生地については諸説あり、大坂の立役篠塚次郎左衛門の甥であるとも、山城国伏見の武士の子供として生まれたとも言われています。また、相模国足柄下郡江浦の出身ともされ、彼のルーツについては不明瞭な部分が多いのが特徴です。

彼の歌舞伎におけるキャリアの始まりは、江戸での修行に始まります。最初は篠塚菊松という名で活動し、1706年11月に大坂の篠塚次郎左衛門座で坂東菊松を名乗り、初めての舞台に立ちました。この時、角前髪で拍子事を演じたことが彼の初舞台となります。翌年の11月には名を坂東彦三郎に改名し、徐々にその名を広めていくこととなります。

1711年、坂東彦三郎は京都に上り、そこで2年間の間に様々な芸を磨きました。この時期には所作事や武道、やつし事など多彩な舞台経験を積み、京坂での評価を高めていきました。彼の技術と表現力は、観客や同業者からも称賛を受けるほどでした。

享保14年（1729年）、彼は再び江戸へ舞台を移し、初代坂東又太郎の門下に入ります。これによって彼の舞台活動はさらに活発になり、多くの観客を魅了しました。その後、元文5年（1740年）11月には江戸に帰り、歌舞伎界の大立者として名を馳せることになります。

この頃、坂東彦三郎は当時の名優、二代目市川團十郎や初代澤村宗十郎、初代大谷廣次と共に「四天王」と称される存在となり、歌舞伎界での地位を不動のものにしました。彼の舞台での演技は、現代の観客にも強い影響を与えるほどのものでした。特に、彼が演じた役柄は多彩で、喜劇から悲劇まで幅広いジャンルに対応し、観客は常に新鮮な驚きを感じていたことでしょう。

初代坂東彦三郎の名は、後に名跡として引き継がれ、現在でも多くの歌舞伎役者によって受け継がれています。彼の人生は、消息が不明な部分も多いながら、歌舞伎の発展とともにあったことは確かです。彼の影響力は、今なお歌舞伎の舞台に色濃く残っています。彼の偉業は、後進の役者たちにとっても大きな目標となり続けているのです。

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