相模国

相模国（さがみのくに）

相模国は、かつて日本の地方行政区分である令制国の一つとして存在していました。現在の神奈川県に相当し、古代から中世にかけて重要な地域でした。

国名について

相模の国名に含まれる「模」という文字は、律令時代の公文書に見られる国印に基づき「相摹」（さがみ）と表記されていました。この文字は、手へんに由来する相摸とも言われており、本来の表記としての歴史的な背景があります。

現代の領域

相模国の領域は、明治維新の前に多くの変化を経ました。現在の神奈川県のうち、川崎市と横浜市を除く地域が旧相模国に該当します。しかし、横浜市の中でも一部は旧武蔵国に属し、相模国との境界が複雑なことがわかります。具体的には、戸塚区、栄区、泉区、瀬谷区、南区、港南区、金沢区の一部などが含まれています。

歴史の沿革

相模国は古墳時代の成務朝に成立したとされており、相武国造と師長国造の領域を合わせたと考えられています。また、鎌倉地域や三浦地域も相模国の一部として加わりました。元々は武蔵国の一部であったとも言われており、相模国の成り立ちには多くの説がありますが、語源は不明です。

12世紀末には源頼朝が鎌倉を拠点とし、その後相模国は鎌倉幕府の中心として重要な役割を果たしました。政所が国役の賦課を行い、守護の役割については宝治合戦まで三浦氏が担ったとされています。以降、北条氏の支配が確立し、相模守と呼ばれる地位が確立しました。

1333年には鎌倉幕府が滅亡しましたが、槍術の名門である鎌倉将軍府や鎌倉府は引き続き相模国に拠を持ち、関東地方の政治に影響を与えていきました。以後、相模国は小田原城主を中心とする後北条氏の時代に再び政治中心地として栄えましたが、1590年の小田原征伐でその勢力は衰退しました。

明治以降の沿革

明治維新後、相模国は「旧高旧領取調帳」に記載された時点で神奈川県に改編されました。数々の行政区分が設けられ、特に1868年には神奈川裁判所が設立されました。そして、1890年には小田原藩が廃藩置県によって相模国が神奈川県に統合されました。また、地名や歴史的背景が現在でも色濃く残っています。

国府と寺院

相模国の国府の所在地には、いくつかの説がありますが、大住郡や餘綾郡が候補として挙げられています。また、相模国分寺と国分尼寺は、国の史跡として保護され、その存在は国府としての地域の重要性を物語っています。

終わりに

相模国の歴史は、その設立から江戸時代まで多くの変遷を経て、地域の文化や行政に大きな影響を与えました。今なお、その名残は神奈川県の地名や文化に見ることができ、その歴史的意義を再評価する必要があります。

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