坂東薪水

名跡「坂東薪水」の歴史

坂東薪水（ばんどう しんすい）は、歌舞伎界における伝統的な名字の一つであり、その屋号は音羽屋として広く知られています。また、定紋は「鶴の丸」、替紋には「八重片喰」が用いられています。この名跡は、初代坂東彦三郎の俳名に由来していますが、初代から六代目までの各世代において、「薪水」という名前を名乗ることはありませんでした。実際に「坂東薪水」を名乗ったのは七代目からで、それぞれが歌舞伎界に貢献してきた様子をここで詳しく見ていきましょう。

初代坂東薪水

初代坂東薪水は1693年から1715年まで活躍しました。彼は初代坂東菊松の後、初代坂東彦三郎として名を知られ、俳名は「初代薪水」として残っています。この時代の歌舞伎は、名優たちがその栄光を誇るものでした。

二代目坂東薪水

二代目は、初代の息子で1741年から1768年までの活躍を見せました。彼は二代目坂東菊松から二代目坂東彦三郎に名を変え、俳名を二代目薪水としました。続く世代においても、彼の影響力は決して薄れることはありませんでした。

三代目坂東薪水

三代目は1754年から1828年まで活動し、八代目市村羽左衛門の三男として生まれました。彼は初代市村吉五郎から三代目坂東彦三郎に改名し、俳名は三代目薪水となっています。この代には歌舞伎がさらなる発展を迎え、多くの観客を魅了しました。

四代目坂東薪水

四代目は1800年から1873年までの生涯を持つ人物であり、三代目の甥で養子として受け継がれました。父は市村座の帳元であった福地茂兵衛で、彼は市村竹三郎から市村龜三郎、そして四代目坂東彦三郎を経て、初代坂東龜藏にまで昇りつめました。

五代目坂東薪水

五代目坂東薪水は1832年から1877年まで生存し、四代目の養子でした。彼の実家は浅草の大工・爲藏であり、また一説では歌舞伎作家の村冠二であるとされています。初代坂東鶴之助から初代坂東竹三郎を経て、五代目坂東彦三郎で俳名を五代目薪水としました。

六代目坂東薪水

六代目は1886年から1938年まで活躍し、尾上菊五郎の三男でした。彼は尾上英造から六代目尾上榮三郎に名を変え、最後には六代目坂東彦三郎として俳名も六代目薪水となりました。

七代目坂東薪水

七代目は1916年から2001年まで生き、六代目の子供として生まれました。彼は三代目坂東龜三郎から七代目坂東彦三郎、さらには七代目坂東薪水へと名を受け継ぎ、最終的には十七代目市村羽左衛門へと繋がりました。

八代目坂東薪水

八代目は1943年以降も続いており、七代目の長男である彼は、四代目坂東龜三郎や八代目坂東薪水、さらには二代目坂東龜藏、そして八代目坂東彦三郎として名を名乗り、最終的には初代坂東楽善という隠居名にも変わりました。

このように、坂東薪水という名跡は、各世代の歌舞伎役者たちの努力と才能によって作り出されてきた歴史の濃縮されたものであり、歌舞伎界においてその存在は特別な意味を持っています。

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