坂野義光

坂野 義光について

坂野義光（ばんの よしみつ）は、1931年3月30日に愛媛県越智郡桜井町（現在の今治市）に生まれ、2017年5月7日に亡くなった日本の著名な映画監督です。彼は映画製作の分野で多大な影響を与え、特に水中映像を用いた作品で知られています。

学歴と初期のキャリア

坂野は中学三年生の時に上京し、東京都立第一中学校を経て、東京大学の文学部美術史科を卒業します。1955年に大学を卒業後、東宝映画に入社しました。当時、東宝は縁故採用が主流だったため、母親の友人の紹介で入社できたのです。最初は本社の文芸部に配属され、後に演出助手として助監督の道を歩みます。

1961年からは水中撮影班に転籍し、その技術をバックに映画製作の新たな局面を切り開きました。特に、映画「斜陽」の制作期間中には、東宝の解体時期において水中撮影の重要性が増し、彼はその最前線に立つことになります。

監督デビューとその後

1971年、坂野は自ら企画した「ゴジラ対ヘドラ」で監督デビューを果たしました。この作品では、怪獣ゴジラを空中に飛ばすという革新のアイデアを提案しましたが、プロデューサーの体調不良により多くの判断を下さざるを得ない状況となりました。結果的にアイデアは採用されましたが、完成作品については意見が分かれ、坂野はその後、劇映画監督からは距離を置くことになります。

以降、坂野は水中技術を活かし、ドキュメンタリー制作や映像のプロデューサーにシフトしました。特に1983年には70ミリフィルムを使った大型映像「ジャパネックス・システム」を開発し、技術革新にも寄与しています。

1989年には東宝映像美術の常務取締役に就任し、1994年までその職にありました。2000年には先端映像研究所を設立し、社長として新たな映像表現の確立を目指しました。坂野はその後も活発に制作活動を続け、特に2014年には自らのIMAXによる3Dゴジラ短編映画がハリウッドでの長編映画として採用されるなど、国際的な評価を得ます。

最後の業績と遺産

坂野は2017年、福島第一原発事故を題材にした映画「新ヘドラ」のシナリオを完成させており、映画化に向けた構想を練っていましたが、同年5月7日に脳出血により亡くなりました。彼の功績は多くの映画作品やドキュメンタリーに示されており、特に「ゴジラ」シリーズへの貢献は後世に渡って語り継がれています。

2019年にはアメリカの映画「ゴジラ キング・オブ・モンスターズ」において、彼及び特撮俳優の中島春雄に敬意を表する献辞がエンドクレジットに掲載されました。坂野義光の名前は、特撮映画史において記憶され続けることでしょう。

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