坤儀公主

坤儀公主（こんぎこうしゅ）は、明朝最後の皇帝である崇禎帝の長女として、1630年12月2日（崇禎3年10月29日）に誕生しました。母は周皇后です。

彼女の生涯については、明朝の歴史を記した『明史』やその他の文献にわずかに記述が残されているのみで、その詳細は不明な点が多く、特に没年に関する記録は混乱しています。これは、崇禎帝の治世に関する実録や起居注が編纂されなかったことが大きな原因です。そのため、坤儀公主の記録は他の皇女たちの記録と混同されることもあります。

最も混乱を招いているのは、彼女の最期に関する記述です。一説には、1644年4月24日の夜、父である崇禎帝の手によって負傷した、あるいは斬殺されたとされています。しかし、この説は、妹である長平公主や昭仁公主の最期に関する記録と混同されている可能性が高いと指摘されています。

『明史』の「列伝第九 公主伝」には、坤儀公主は周皇后の娘であり、後に諡号（死後に贈られる名前）が贈られたと記されています。また、『烈皇小識』、『崇禎長編』、『欽定續文献通考』などの文献にも彼女に関する記述が見られますが、いずれも断片的な情報にとどまっています。

特に『欽定續文献通考』には、崇禎帝の六人の娘のうちの一人として坤儀公主の名前が挙げられ、周皇后の娘であり、若くして亡くなった（早薨）と記されています。この記述は、彼女が若くして亡くなったという事実を伝えていますが、具体的な没年や状況については触れられていません。

このように、坤儀公主の生涯は多くの謎に包まれています。彼女に関する史料の欠落は、明朝末期の混乱を物語るとともに、歴史の記録がいかに不完全なものであるかを私たちに教えてくれます。彼女の生涯は、明朝の終焉という激動の時代を背景に、悲劇的な運命を辿った皇女の一人として、今もなお歴史の中に埋もれたままです。

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