坪井直

坪井直（つぼい すなお）の生涯

坪井直は1925年5月5日、広島県音戸町で誕生しました。彼の人生は、1945年8月6日の広島原爆投下によって劇的に変わることになります。広島工専（現在の広島大学工学部）へ通う途中、彼は爆心地からわずか1.5kmの地点で被爆しました。この時、坪井は顔と両腕に重度の火傷を負いながらも生き延びました。原爆投下後に撮影された写真には、救援を待っている坪井の姿が残されています。

NHKのスペシャル番組『きのこ雲の下で何が起きていたのか』（2015年放送）では、彼がその時の辛い体験を語る様子が放映されました。

坪井は教育者としても知られています。1986年、広島市立城南中学校の校長を務めた後、定年退職しました。興味深いことに、彼の教え子の中には歌手の西城秀樹も含まれています。退職後は、原爆の悲劇を風化させないための非核運動に積極的に参加しました。

2000年からは日本原水爆被害者団体協議会の代表委員として活動を続け、さらに2004年からは広島県原爆被害者団体協議会の理事長に就任しました。坪井はその活動を通じて、被爆者に対する理解を深めようと努めました。2011年には第23回谷本清平和賞を受賞し、その平和への尽力が評価されました。

坪井は2016年、広島市を訪れた安倍総理とオバマ大統領と共に広島平和記念公園での握手を交わしました。この瞬間は、彼にとって歴史的な出来事であり、彼の活動が国際的にも認知されることとなりました。

2018年4月5日、坪井は広島市より名誉市民の称号を贈られ、その業績が再度評価されました。しかし、2019年1月には彼の高齢を考慮し理事長代行が新設され、箕牧智之がその役職に就任しました。

坪井は2021年10月24日に広島市内の病院で、貧血による不整脈が原因で96歳で逝去。彼の死を受けて、岸田文雄首相は哀悼の意を表し、広島県被団協主催のお別れ会には400人以上が参列しました。この会では、坪井の遺影に花が手向けられ、彼の平和への願いが胸に刻まれました。

坪井直は、多くのテレビ番組にも出演し、被爆体験を語ることを通じて平和の重要性を訴えてきました。彼の名前は、核兵器をなくす運動や、非核平和の象徴としてずっと語り継がれることでしょう。彼の足跡は次世代に大きな影響を与え続けています。

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