音戸町

音戸町（おんどちょう）

音戸町は広島県に位置し、かつて安芸郡に属していた町です。この町は、呉市の南方、瀬戸内海に浮かぶ倉橋島の北側の約3分の1を占めていました。その歴史は長く、1889年4月1日に市町村制が施行されたことから始まります。当時、音戸町域には瀬戸島村と渡子島村という2つの村が存在していました。

1906年1月1日、瀬戸島村が村名を改称して音戸町（初代）が誕生しました。さらに、1932年4月1日には音戸町（初代）と渡子島村が合併し、音戸町（2代）が形成されました。この合併により、町の中心地と住民が統合されました。

音戸町の歴史の中ではいくつかの悲劇もありました。特に1932年9月13日、音戸町と鍋桟橋を結ぶ汽船が沈没し、死者や行方不明者が29人出た事故は大きな衝撃を与えました。この事故は定員23人の小型船に対し、137人が乗船してしまったことが原因とされています。

その後の進展として、1961年12月4日には音戸ノ瀬戸に音戸大橋が架けられ、これにより倉橋島が本土と陸続きとなりました。この橋は当初有料でしたが、1974年には無料開放されることとなりました。続いて、1973年10月27日に早瀬大橋も完成し、江田島や西能美島、東能美島と接続することとなり、地域の交通インフラが整備されました。

2005年3月20日、音戸町は蒲刈町・倉橋町・豊浜町・安浦町・豊町とともに呉市に編入され、町としては消滅しました。この編入により、音戸町の歴史は幕を閉じました。

地理と経済

音戸町の地理は、古観音山（246m)や三子島などの自然景観が特徴です。また、漁業が主な産業であり、いりこやカキ、ちりめんなどの特産品もあります。使われていた名所や名域には清盛塚や旧日本海軍の曳航式輸送船が防波堤として使用されたコンクリート船などがあります。

教育と交通

2005年当時、音戸町には音戸小学校や波多見小学校、音戸中学校がありました。また、高等学校として広島県立音戸高等学校も存在しました。交通手段としては、国道487号や広島県道35号音戸倉橋線などの主要な道路がありましたが、人口の流動が少なかったため、鉄道は通っていませんでした。

著名人

音戸町は何人かの著名人の出身地でもあります。元中学校校長で日本原水爆被害者団体協議会の代表委員の坪井直さん、歌手の島谷ひとみさんや城みちるさん、NHKアナウンサーの平崎貴昭さん、学生運動家の秋田明大さん、元衆議院議員の空本誠喜さんなどがその例です。

音戸町は、長い歴史と共に多様な文化を育んできた地域でしたが、2005年の合併によりその名は消えることとなりました。

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