坪内隆直

坪内 隆直

坪内 隆直（つぼうち たかなお、1948年 - ）は、日本の写真家。特にオートバイのモータースポーツフォトグラファーとして、その黎明期から活躍した草分けの一人として知られています。

経歴

1948年、神奈川県横浜市に生まれた坪内隆直は、日本大学芸術学部写真学科を卒業後、写真家の二村保に師事し、写真家としてのキャリアをスタートさせました。その後独立し、フリーランスのフォトグラファーとして活動を開始。当初はヨーロッパへ渡り、自動車レースの最高峰であるF1やルマン24時間レースなど、四輪のモータースポーツを中心に撮影を行いました。しかし、次第にその関心は二輪レースへと移り、1973年からはロードレース世界選手権（WGP）をはじめとする二輪レースの本格的な取材を開始しました。

モータースポーツ写真家として

WGPの現場で、世界のトップライダーたちの躍動やレースの緊迫感をレンズを通して捉え続けた坪内隆直は、『サイクルサウンズ』や『オートテクニック』といった当時の専門誌や雑誌に数多くの作品を発表し、日本のモータースポーツファンに世界最高峰の二輪レースの魅力を伝えました。その写真からは、単なる記録に留まらない、レースにかける人々の情熱やドラマが感じられます。

彼の作品は写真集としてもまとめられ、1980年には『我が愛するドンキホーテ達』、1983年には二輪ロードレース界の伝説的存在である片山敬済を追った『二輪戦士・片山敬済』を上梓。さらに、ケニー・ロバーツや平忠彦といったスターライダーを被写体とした写真集も手掛けるなど、数々の名作を生み出しました。

専門誌『グランプリ・イラストレイテッド』創刊

WGPの情報をより深く、専門的に日本のファンに届けるため、坪内隆直は自らの手で専門誌を立ち上げることを決意します。1984年にはヴェガ・インターナショナルを設立し、翌1985年にはWGP専門誌『グランプリ・イラストレイテッド』を創刊しました。彼はこの創刊号の編集長を務め、誌面作りにおいてもリーダーシップを発揮。これにより、『グランプリ・イラストレイテッド』は日本のWGPファンにとって欠かせない情報源となりました。

また、モータースポーツ業界の発展にも貢献しており、GPMA（グランプリ・モーターサイクルマニュファクチャラーズ・アソシエーション、現MSMA）が創設された際には事務局長としてその運営を支えました。現在は日本写真家協会および日本スポーツプレス協会の会員としても活動しています。

長年にわたるモータースポーツ写真の探求は続けられており、近年でも写真展に出展するなど、その精力的な活動は続いています。

主な写真集

『我が愛するドンキホーテ達』（ライダースクラブ、1980年）
『二輪戦士・片山敬済』（飛鳥新社、1983年）
『戦う肖像 ケニー・ロバーツ』（CBS・ソニー出版、1985年）
『平忠彦—きらめく汗のむこうに』（角川書店、1987年）
* 『TETSUYA31』（エキスプレス、2002年）

坪内隆直は、その卓越した技術と情熱をもって、日本のモータースポーツ写真の歴史に確固たる足跡を残した存在と言えるでしょう。

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