垣花樋川

垣花樋川：沖縄の貴重な水資源と歴史

沖縄県南城市玉城字垣花に位置する垣花樋川は、1985年に環境省の名水百選に選定された、歴史と自然が息づく湧水です。集落の崖の中腹から湧き出る清らかな水は、二つの水路に分けられて流れ下ります。

男川と女川：異なる役割を担った二つの水路

右側の水路を「男川（いきががー）」、左側の水路を「女川（いなぐがー）」と呼びます。「がー」は沖縄の方言で川を意味します。

男川は、生活用水として利用されてきたと考えられています。一方、女川は、人々が身を清める沐浴場として利用されてきました。その位置は、下流から見えないように工夫されており、人々のプライバシーに配慮した設計が伺えます。

馬浴：人だけでなく馬も利用した水場

下流の浅い泉は「馬浴（ウマアミシー）」と呼ばれ、馬に水を飲ませたり、体を洗ったりする場所として利用されていました。人々だけでなく、馬にとっても貴重な水源だったことが分かります。

歴史を感じさせる石畳の道と休憩場所

二つの水路から流れ出た水は、斜面を下る石畳の道を流れ下ります。この石畳の道には、かつて女性たちが休憩したとされる「中休み石」や「上休み石」が残されており、人々の生活の跡を垣間見ることができます。

水路には、琉球石灰岩地帯特有の石灰質の析出物が堆積しており、長い年月をかけて形成されてきた自然の営みを感じさせます。

アクセスと周辺情報

垣花樋川へのアクセスは、那覇市から沖縄バスを利用するのが便利です。沖縄バス41番系統の直通便、または南城行きに乗車し、終点でNバスA・Dルートに乗り換えて「垣花」バス停で下車後、徒歩5分です。

周辺には、沖縄県道137号佐敷玉城線や国道331号が通っており、車でのアクセスも可能です。

まとめ：沖縄の自然と歴史を体感できる場所

垣花樋川は、単なる湧水ではなく、人々の生活や歴史と深く関わってきた場所です。今もなお、清らかな水をたたえ、沖縄の豊かな自然と文化を象徴する存在となっています。訪れた際には、石畳の道をゆっくりと歩き、歴史と自然に思いを馳せてみてください。名水百選に選ばれたその価値を、肌で感じることができるでしょう。

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