埋積谷

埋積谷（まいせきこく）

埋積谷は、その谷底に厚い堆積物が蓄積しているため、広くて平坦な地形を形成する特徴があります。この地形は、周囲の山地と急激に変化する斜面によって明確な境界を持ちます。特に山中に位置する埋積谷は小さな盆地をつくることが多く、またリアス式海岸においては小さな海岸平野の形成にも寄与します。

埋積谷は、一般的にその厚い堆積物の下に古い谷の地形である埋没谷（化石谷）が隠れていることがあります。谷底が河川の若返りによって深く掘り下げられることにより、堆積段丘が形成される場合もあります。これは地形変化の一環として重要なプロセスです。

成因

埋積谷は、いくつかの要因によって形成されます。その一つは地盤の沈降や海水準の上昇です。また、河床の勾配が減少するような傾動や、河川争奪による水量の減少、さらには活発な火山活動による堆積物の急激な増加も関与しています。これらの要素が組み合わさることで、河川が運搬できる荷重を超えてしまい、結果として谷が埋積されるのです。

分布

埋積谷は、日本の中央部の山地にはあまり見られず、主に本州の瀬戸内海沿岸や日本海沿岸の一部地区、さらに九州の北部でも類似の地形を見つけることができます。そのため、全国的に普遍的な存在ではないものの、特定の地域においては顕著に観察される地形です。

埋積谷は、自然環境の中での地形の進化や生態系の変化に深く関与しており、地質学的観点からも非常に興味深い対象です。地形の理解が進むことで、過去の地球の歴史や環境の変遷を知る手がかりとなるでしょう。

参考文献

• - 日下哉（編）『図解 日本地形用語事典 増訂版』東洋書店、2007年。
• - 『新版 地学事典』 地学団体研究会 新版地学事典編集委員会編、平凡社、1996年。
• - 辻村太郎『日本地形誌』古今書院、1929年。
• - 『地形学辞典』、町田 貞（著）、1981年、二宮書店。

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