バダホス

バダホス：国境の要衝、歴史と文化が交差する街

バダホスは、スペイン南西部、エストレマドゥーラ州に位置する都市であり、同県の県都です。ポルトガルとの国境に接し、グアディアーナ川が流れるこの地は、古くから戦略的な要衝として重要な役割を果たしてきました。その歴史は古く、先史時代から人が居住していましたが、875年にイブン・マルワンによって都市が築かれ、11世紀にはバダホス王国の首都として繁栄しました。

地理と景観

バダホスの市街地は、グアディアーナ川の左岸、標高184mの地点に位置しています。ムーア人の城、アルカサバ・デ・バダホスの遺跡がある高台からは、街並みとグアディアーナ川を一望できます。この城とサン・クリストバルの要塞の間には、花崗岩でできた美しい橋が架かっています。また、1238年に建設されたバダホス・カテドラルは、要塞のような外観を持ち、この街の歴史を物語っています。

歴史

バダホスは、その地理的な位置から、国境の要塞として幾度となく包囲攻撃を受けてきました。1229年にアルフォンソ9世によって奪われるまで、イスラム勢力の支配下にありましたが、その後もポルトガルやフランスなど、様々な勢力による侵攻にさらされました。特に、1812年のバダホスの戦いでは、ウェリントン公率いるイギリス軍がフランス軍を破り、街を奪還しましたが、その過程で多くの犠牲者が出ました。スペイン内戦中の1936年には、フランコ軍が共和派を制圧し、悲劇的な出来事も起きました。

文化と観光

バダホスには、歴史的な建造物や遺跡が数多く残されており、観光客を魅了しています。アルカサバ・デ・バダホスは、ムーア人の支配下にあった時代の面影を残す重要な遺跡であり、バダホス・カテドラルはその重厚な外観と内部の装飾で訪れる人々を魅了します。また、市内には博物館や美術館も点在し、バダホスの歴史や文化に触れることができます。

交通

バダホスは、鉄道や道路などの交通網が整備されており、スペイン国内の主要都市やポルトガルとのアクセスも良好です。レンフェのバダホス駅からは、マドリードへの特急列車が運行されており、将来的には高速鉄道網に組み込まれる予定です。また、バダホス空港からは、バルセロナやマドリードへの定期便が運航されています。

教育

バダホスには、エストレマドゥーラ大学のキャンパスがあり、多くの学生が学んでいます。この大学は、1968年にセビリア大学のキャンパスとして設立され、その後エストレマドゥーラ大学の一部となりました。

スポーツ

バダホスには、サッカークラブのCDバダホスやADセロ・デ・レジェス、バスケットボールクラブのABパセンセなど、様々なスポーツチームが本拠地を置いています。

バダホス出身の著名人

ペドロ・デ・アルバラード：16世紀の探検家・コンキスタドール。
ルイス・デ・モラーレス：16世紀の画家。
マヌエル・デ・ゴドイ：18-19世紀の政治家。
ロサ・モレナ：フラメンコ歌手。
アデラルド・ロドリゲス：サッカー選手。

姉妹都市

エルヴァス（ポルトガル）
サンタレン（ポルトガル）
ナザレ（ポルトガル）
グラナダ（ニカラグア）
ブルメナウ（ブラジル）

バダホスは、その長い歴史の中で、様々な文化が交錯し、独自の魅力を育んできました。国境の街として、多くの戦いを経験しましたが、その度に復興を遂げ、現在では平和で美しい都市として発展しています。バダホスを訪れれば、スペインの歴史と文化を肌で感じることができるでしょう。

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