埴輪 踊る人々

埴輪 踊る人々

概要

「埴輪 踊る人々」は、東京国立博物館が所蔵し、一般には「踊る埴輪」として知られる2体の人物埴輪です。重要文化財には指定されていないものの、そのユニークなデフォルメと表情で広く認識されています。最近では、これらの埴輪が踊りではなく、手綱を持った馬を引く「馬飼」を表現しているという仮説が浮上しています。

名称と来歴

正式名称は『埴輪 踊る人々』で、初めてこの名称を提唱したのは考古学者の後藤守一です。1930年、埼玉県の野原古墳群から発見され、その後東京帝室博物館に所蔵されました。一般公開は1930年の埴輪特別展覧会で行われ、以降も多くの研究と展示を通じてその重要性が認識されています。

1947年の国立博物館設立後も東京国立博物館にて所蔵され、長い間に修復や展示替えが行われました。特に2022年に始まった修理プロジェクトでは、多くの寄付金が集まり、2024年秋以降には修復された姿が再公開予定です。

特徴とデザイン

「踊る埴輪」の製作は6世紀代とされており、特にその半身立像の形式が目を引きます。両体はデフォルメが強調され、腰から下が無い形状をしています。頭部は円筒形で、丸い目と口が開かれた表情が特徴です。この表情は踊っているようにも見え、見る者にユーモラスな印象を与えます。

小さい方の埴輪には、農民を表す髪型や道具が描かれ、男子像であると考えられています。一方で大きい方には耳の表現はあるものの、詳細な装飾はありません。この男女を表現しているとの説や、両体ともに男子であるとの説があります。

研究の歴史

後藤守一が1931年に発表した論文では、これらの埴輪が踊っている人物として知られるようになりました。しかし近年、美術や考古学の研究が進むにつれ、その解釈に疑問が投じられ、「馬飼」説が支持されるようになっています。これは、埴輪の特性的なデザインが馬を引く姿を象徴しているとする見解です。

同時に、埴輪の研究が進むにつれ、様々な視点からの評価が注目されています。塚田良道教授は、後藤による分類が基本的に無批判に引き継がれている点を指摘し、型式学的な手法での再評価が必要だと述べています。

社会とのかかわり

「踊る埴輪」は埴輪の象徴として日本国内外に認知されており、特に埼玉県熊谷市江南地域では地域振興のシンボルとして活用されています。江南町の町づくりにおいても「踊る埴輪」の要素を取り入れた施策がなされ、各所にその意匠が施されています。自治体では新たな「踊る埴輪」の建立や地域イベントも行われており、文化財としての側面だけでなく、地域住民による文化の継承が進められています。

キャラクター化

東京国立博物館は公式キャラクターで「踊る埴輪」をモチーフにした「トーハクくん」を発表しました。このキャラクターは埴輪のユニークな特徴を活かし、地域のPR活動にも一役買っています。

結論

「踊る埴輪」は単なる考古学的な遺物にとどまらず、地域文化や社会に深い影響を与える存在として今もなお変化し続けています。これからの研究や社会的な意義に注目が集まることでしょう。

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