後藤守一

後藤守一(1888年8月10日 - 1960年7月30日)は、日本の考古学者であり、明治大学名誉教授を務めました。彼の生涯は、大正時代から昭和時代にかけての日本の考古学の発展と、その時代背景における学問のあり方を深く反映しています。

生い立ちと教育



後藤守一は、神奈川県三浦郡田越村(現在の逗子市)に生まれました。ただし、鎌倉市生まれや静岡県生まれとする資料も存在します。彼は、沼津中学(現在の静岡県立沼津東高等学校)と静岡師範学校を経て、東京高等師範学校地歴科を卒業しました。この教育課程を通じて、彼は地理学と歴史学の基礎を深く学び、後の考古学研究へと繋がる素養を培いました。

帝室博物館での活動



1917年から1918年にかけて静岡県立静岡中学校で教諭を務めた後、1921年1918年とする資料もあり)から1940年まで帝室博物館に勤務しました。ここでは監査官として、博物館の運営とコレクションの管理に携わりました。1927年には博物館視察のためヨーロッパへ派遣され、海外の博物館事情を学ぶ機会を得ました。これらの経験は、彼の考古学に対する視野を広げる上で重要な役割を果たしました。

戦時下の活動と批判



帝室博物館を退官後、後藤は1941年に翼賛的考古学団体である日本古代文化学会を創設し、委員長に就任しました。さらに1942年からは國學院大學で教授として教鞭をとり、「神道考古学」を提唱しました。この時期、樋口清之らとともに皇国史観考古学の推進者として活動し、戦時下の国策に協力しました。1938年に浜田耕作が死去した後、彼は日本考古学界の第一人者となりました。しかし、これらの活動は、戦後、彼を戦争協力者として批判する声を生むことになりました。

戦後の活動と評価



戦後、後藤は1950年明治大学考古学研究室を創設し、主任教授として多くの考古学研究者を育成しました。これは私立大学初の考古学研究室であり、日本の考古学教育に大きな貢献をしました。しかし、戦前から進化論に基づく科学的考古学を推進していた山内清男からは「文化戦犯」と指弾され、その戦時中の活動を厳しく批判されました。後藤の活動は、日本の考古学が戦争とどのように関わったのかを考える上で、重要な事例を提供しています。

代表的な著作



後藤守一は、多くの著作を通じて考古学の普及に貢献しました。彼の代表的な著作には以下のようなものがあります。

『日本考古学』(1927年
『日本歴史考古学』(1937年)
『日本の文化』(1941年
『埴輪の話』(1944年)
『祖先の生活』(1944年)
『日本古代史の考古学的検討』(1947年)

これらの著作は、彼の考古学に対する深い造詣と、日本の歴史と文化に対する強い関心を反映しています。

その他の活動と関連事項



後藤守一は、武蔵野文化協会の会長も務めました。また、埴輪に関する研究も行っており、特に「踊る人々」に分類された埴輪について、近年の研究では「馬飼」とする説が有力視されています。この点は、考古学研究の進展とともに、解釈が変わることを示す一例となっています。

後藤守一は、その学術的な貢献とともに、戦時中の活動によって評価が分かれる考古学者です。彼の生涯と業績は、日本の考古学史における重要な一章であり、その後の研究者たちに大きな影響を与え続けています。

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