基本国策要綱

基本国策要綱

基本国策要綱（きほんこくさくようこう）は、昭和15年（1940年）7月26日に第2次近衛内閣によって閣議決定された政策方針です。この要綱は、大東亜共栄圏を構築するための重要な枠組みとして策定されました。要綱には、国の根本的な方針や国防、外交、国内の体制刷新に関する具体的な方針が記載されています。

成立の背景

この国策要綱は「綜合国策基本要綱」に基づいているとされ、武藤章軍務局長が主導して策定されました。1940年の初めから半年かけて、陸海軍の関係者や「革新」派の官僚が参加する形で国策案がまとめられました。この過程で、近衛文麿首相は陸軍の要望に基づいた提案を受け入れ、「基本国策要綱」の成立へとつながりました。

要綱の内容

要綱の中で示された根本方針は、皇国の国是を基にして世界平和の確立を目指すものであり、特に日本を中心とした大東亜の新秩序を構築することに力点が置かれています。以下に要綱の主要な内容を詳述します。

1. 根本方針

皇国の国是は「八紘を一宇」に基づくものであり、世界平和の確立がその中心命題とされています。要綱は、国内外の状況に応じた国家態勢を迅速に整備しようとする意図が示されています。

2. 国防及び外交

国防については、国家全体での防備体制の充実が求められ、特に大東亜の新秩序創設が重視されました。また、外交政策は中国との関係を強化することが重要視され、この国際情勢の変化を引き寄せるための具体策が求められました。

3. 国内体制の刷新

国内においては、国政の根本を刷新し、国防体制の基盤を整えることが急務とされました。これには、教育制度の見直し、国家奉仕の精神を重視する国民道徳の確立、新たな政治体制の確立、官民の協力を促進するための組織の刷新が含まれています。

また、経済政策に関しては、日満支の自給自足を目指した計画経済の実施が提案され、主要物資に関する生産と配給の統制が強調されました。さらに、国民の生活向上や国土開発に対する計画を進め、生産性の向上や交通網の整備も掲げられていました。

まとめ

このように、基本国策要綱は日本の戦時体制を支える重要な政策文書であり、その背景や具体的な内容は当時の国際情勢を反映しています。国策の遂行は国民の犠牲を伴うものであり、厚生的施策の実施や国民生活の刷新が求められていました。要綱が示す方向性は、戦時下の国家のあり方を大きく左右するものであったと言えるでしょう。

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