基本母音

基本母音とは

基本母音とは、イギリスの音声学者ダニエル・ジョーンズによって定義された、言語の音を記述する際の基準となる母音のことを指します。これらの母音は、母音図上の重要な位置を示すために設定されており、全体で18種類の音が定められています。

基本母音は、特定の言語に属さない人工的な定義で構成されており、音声学的な観点から非常に重要です。音声学者は基本母音に精通することで、特定の機器を使用しなくても、音の特徴を正確に記述できるようになります。たとえば、音を聞いた際に「[e] と [ɛ] の中間の音」といった形で音を比較的に表現できるのです。

第一次基本母音

基本[母音]]の中で最初の8つは第一次基本母音と呼ばれます。これらの母音の中で、純粋に調音音声学的に定義されているのは、[i と ɑ の2つです。

• - i: これは、舌を最も前方に位置させ、硬口蓋に近づけて調音される音で、唇は引き伸ばされます。
• - ɑ: 舌を下部の奥の位置に配置し、唇は横にも丸めもしないで、調音される音です。

残る[母音]]、すなわち [e、ɛ、a は、(i] と [ɑ] の間に位置する前舌母音で、音波の周波数（F1）が均等に高くなるよう配置されます。この時、唇の引き伸ばし度合いも徐々に下がります。また、[ɔ、o、uは奥舌母音で同様にF1の周波数を低くするよう配置され、唇は円唇度を高めていき、[u]となるときは、最も狭く突出した形になります。

基本母音の定義には調音と音響の要素が関与していますが、基本母音の「高さ」が舌の最高点の位置に基づくとされることもあります。ただし、これは実際の口の動きに必ずしも一致しない点には留意が必要です。前舌と奥舌の定義も音響的に示されており、F1とF2の周波数差が大きいのが前舌、小さいのが奥舌となります。

第二次基本母音

第一次基本[母音]]に対して、円唇性や張唇性が逆転した母音が第二次基本母音として挙げられます。具体的には、基本母音9から16までがこれに該当します。たとえば、[yは[i]と同じ舌の位置で、[u]と同じ円唇母音として特徴づけられます。

さらに、i]と[u]の中間に位置する中舌狭母音 [ɨとʉも含まれます。これにより、基本母音は計18種類となり、その全てが音声学における重要な要素として機能します。

まとめ

基本母音は、音の表現において非常に基本的かつ重要な役割を果たします。音声学の研究や教育において、これらの母音を理解することは、言語音の特性を分析し、観察するために不可欠です。

参考文献

• - Ladefoged, P. (2001). A Course in Phonetics (Fourth ed.). Heinle & Heinle.
• - Ladefoged, P. & Disner, S. F. (2012). Vowels and Consonants, Wiley-Blackwell.

このような基本母音についての知識は、音声学を深く理解するために欠かせないものとなります。

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