埼玉県の貝塚の一覧

埼玉県の貝塚：縄文海進の痕跡をたどる

本稿では、埼玉県に存在する貝塚について詳しく解説します。縄文時代、地球温暖化に伴う海面上昇、いわゆる縄文海進により、現在の埼玉地域にも海水が深く入り込み、広大な内湾（奥東京湾）が形成されました。この内湾は、貝類の生育に適した環境となり、人々が生活の痕跡として残した貝塚が数多く形成されることになったのです。

埼玉の貝塚の特徴

埼玉県内の貝塚の数は110ヶ所以上。特に縄文海進が活発だった縄文時代前期の貝塚が多く見られます。これらの貝塚からは、当時の人々の食生活や生活様式を知る上で貴重な情報が得られます。

貝塚の年代を特定する際には、様々な資料を参考にしますが、資料によって年代に差異が見られることがあります。例えば、岩槻の黒谷貝塚は、埼玉県の史跡一覧では縄文前期の貝塚とされていますが、蓮田市の資料では縄文前期のみならず、縄文中期、後期の貝塚でもあるとされています。本稿では、埼玉県の県指定等文化財リスト、埼玉県立博物館の資料を中心に、各行政の資料を補助的に使用して情報を整理しています。

縄文海進と貝塚の形成

埼玉県で発見されている貝塚の年代は、縄文早期後葉（約8000年前）から縄文前期後葉（約5500年前）にかけて増加しています。この時期、海水面は上昇を続け、現在の栃木県西南部の渡良瀬遊水地付近まで広がっていました。縄文海進は6500年前頃にピークを迎え、当時の海水面は現在よりも2-3メートルほど高かったと考えられています。

しかし、その後海面は一旦低下し、縄文前期末葉には埼玉での貝塚の形成は減少します。縄文中期初頭以降、再び海面が広がりますが、3500年ほど前から再び後退し始め、2000年前には奥東京湾は消滅しました。埼玉県全体としては縄文前期の貝塚が多いですが、国の史跡である岩槻の真福寺貝塚や春日部市の神明貝塚、川口市の貝塚群など、縄文後期の貝塚も存在します。

貝塚の用語解説

貝塚の主な形成期: 貝塚が形成された時代を示します。時代を細分化して示す場合もあります（例：縄文前期(黒浜)）。
主な貝・その他の貝: 貝塚を構成する貝の種類を示します。鹹水（海水）性の貝（ハマグリ、ハイガイなど）を主体とする貝塚、汽水（海水と淡水の混ざった水）性の貝（ヤマトシジミなど）を主体とする貝塚、淡水性の貝（マシジミなど）を主体とする貝塚があります。

貝塚の分布

埼玉県内の貝塚は、旧海岸線に沿って分布しています。貝の種類によって、当時の塩分濃度を推定することができます。

鹹水性（海水）：（赤色）
汽水性または淡鹹性：（オレンジ色）
淡水性：（黄色）
埼玉県外（奥東京湾最奥）：（青色）栃木市篠山貝塚群、古河市の貝塚群

関連情報

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注釈:

本稿の情報は、現時点での最新の研究成果に基づいています。新たな発見や研究により、内容が変更される可能性があります。

出典:

埼玉県の県指定等文化財リスト
埼玉県立博物館資料
蓮田市資料

参考文献:

* （参考文献リストは省略）

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