埼玉県立行田工業高等学校

埼玉県立行田工業高等学校（さいたまけんりつぎょうだこうぎょうこうとうがっこう）は、かつて埼玉県行田市に所在した公立の工業高等学校です。長年にわたり、地域社会に貢献する技術者の育成に力を注いできました。しかし、学校再編の流れの中で、2005年（平成17年）に他の県立高校である埼玉県立行田女子高等学校、埼玉県立行田進修館高等学校と統合され、新たに埼玉県立進修館高等学校として出発することとなり、その歴史に幕を閉じました。

沿革

行田工業高校の歴史は、1960年（昭和35年）にその前身となる埼玉県立行田高等学校に工業科が設置されたことに始まります。その後、工業教育の専門性を高める必要性から、1967年（昭和42年）に埼玉県立行田工業高等学校として独立開校しました。開校当初は、日本の産業を支える基盤技術である機械工学を学ぶ機械科と、電気エネルギーや情報通信に関わる技術を学ぶ電気科が設置されました。時代の変化と技術の進歩に対応するため、1990年（平成2年）には、機械と電子・情報技術を融合した新しい分野である電子機械科が新設され、同時にこの学科は男女共学としてスタートしました。さらに、1995年（平成7年）には、すべての学科が男女共学となり、多様な生徒が工業技術を学ぶ門戸が広げられました。そして、2005年（平成17年）、埼玉県立行田女子高等学校、埼玉県立行田進修館高等学校との再編・統合により、埼玉県立進修館高等学校となり、行田工業高等学校としての役割を終えました。

設置学科

閉校までに設置されていた学科は以下の通りです。

- 機械科：ものづくりの根幹となる機械の設計、製造、加工に関する知識や技術を習得し、社会の基盤を支える技術者を育成しました。
- 電気科：発電から送電、配電、そして利用に至るまでの電気エネルギーに関する技術や、情報通信、自動制御などの分野を学びました。
- 電子機械科：機械システムに電子技術や情報技術を組み合わせたメカトロニクス分野を中心に学び、高度化・複雑化する現代産業に対応できる技術者を育成しました。

これらの学科を通じて、生徒たちは専門的な知識と実践的な技術を身につけ、卒業後、様々な産業分野で活躍しました。

部活動

部活動も盛んでしたが、中でも特筆されるのはラグビー部の活躍です。全国高等学校ラグビーフットボール大会、通称「花園」への出場経験を持ち、埼玉県内だけでなく全国レベルでも強豪として知られていました。ラグビー部の活躍は、学校に活気をもたらし、生徒や地域に誇りを与えました。厳しい練習を通じて培われた体力、精神力、そしてチームワークは、生徒たちの人間的な成長にも大きく貢献しました。

閉校後の活用

行田工業高等学校は閉校しましたが、その校舎は現在も教育施設として活用されています。統合によって誕生した埼玉県立進修館高等学校の工業系コースの校舎として引き継がれ、かつての学び舎で工業技術教育が続けられています。これは、行田工業高校が培ってきた工業教育の伝統や設備が、形を変えて次世代に引き継がれていることを意味します。

著名な出身者

各界で活躍する多くの卒業生を輩出しています。

- 岩﨑哲也氏：元プロ野球選手（埼玉西武ライオンズ）
- 村田ひろゆき氏：漫画家（代表作『工業哀歌バレーボーイズ』など）
- 桑原大祐氏：ラグビー選手（リコーブラックラムズ所属）
- 伊藤邦行氏：ラグビー選手（クボタスピアーズ所属）

これらの卒業生の活躍は、母校である行田工業高校の名を広く知らしめました。

埼玉県立行田工業高等学校