堀光亀

堀光亀（ほり みつき）：日本の商業教育の先駆者

堀光亀（1876年11月24日 - 1940年6月25日）は、明治から昭和にかけて活躍した日本の教育者です。東京商科大学（現在の一橋大学）の発展に大きく貢献し、商業大学の必要性を強く訴えました。また、日本で初めて海運学を創設した人物としても知られています。

生い立ちと教育

1876年、長崎県で元島原藩士の石河光英の三男として生まれました。画家である石河光哉は実弟にあたります。長崎市立商業学校で学んだ後、東京商業学校（後の東京高等商業学校、現在の一橋大学）に入学しました。1902年に同校を卒業すると、すぐに講師として教壇に立つことになりました。

東京商科大学への貢献

堀光亀は、東京高等商業学校が商業大学へと昇格するために尽力しました。1908年には「商業大学必要論」を執筆し、大学昇格の必要性を訴えました。この論文では、単に大学という名称にこだわるのではなく、商業に必要な高度な学術技能を教授し、その奥義を研究することを目的とした高等商業教育機関の設立を強く主張しました。当時の日本の高等商業教育機関として東京高等商業学校は存在していましたが、その専攻部を修了した者が帝国大学卒業者と同等の学士号を得られない状況を問題視し、制度改革を訴えました。

1920年、東京商科大学が設立されると、堀は教授に就任し、大学の発展に貢献しました。その後、附属商学専門部主事も務め、後進の育成に力を注ぎました。1937年に東京商科大学を退官し、名誉教授となりました。

海運学の創設

堀光亀は、日本で初めて海運学を創設した人物としても知られています。当時の日本では、海運に関する専門的な教育機関がなかったため、彼は海運学の必要性を強く認識し、その普及に尽力しました。

留学経験

1903年、堀は商業学研究のためイギリスとドイツに留学しました。ライプツィヒ大学とベルリン大学で学び、ヨーロッパ各地の商業地や貿易港を視察しました。その後、アメリカとイギリスにも留学し、最新の商業教育事情を学びました。これらの留学経験は、彼の教育観に大きな影響を与え、帰国後の教育活動に活かされました。

商業大学必要論の背景

「商業大学必要論」の中で、堀は商業大学が日本において必要な理由として、経済発展に伴う必要性、商工立国を国是とする必要性、欧米との地理的距離から生じる不利を補う必要性、商人の品格を高める必要性などを挙げています。また、当時の大学が歴史的な因習に縛られて学科の新設が困難であったこと、新たな学科の創設が大学の業務を増大させ、経営を困難にすることを課題として指摘しました。

晩年と業績

堀光亀は、1940年に病没しました。一橋大学東キャンパスには、彼の功績を称える胸像が建てられています。この胸像は、1941年に建立されました。彼の教育に対する情熱と先見性は、今日においても高く評価されており、日本の商業教育の発展に大きな足跡を残しました。

主な著作

『海運：完』（明治大学出版部）
『海運』（千倉書房）
「國防は浮遊よりも遥かに重要なり」（『アダム、スミス生誕二百周年記念論集』所収）
「太平洋に於ける封米海運問題を論ず」（『東京商科大学創立五十周年記念論文集』所収）

一橋新聞への寄稿

堀光亀は、一橋新聞にも多くの記事を寄稿しました。その内容は、排日問題や一橋の使命、プロゼミナールの紹介など多岐に渡りました。


堀光亀は、日本の商業教育の発展に不可欠な存在であり、彼の功績は後世に語り継がれています。

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