堀内丸恵

堀内丸恵：漫画史に名を刻む編集者

堀内丸恵氏は、1951年山梨県生まれの集英社代表取締役会長であり、数々のヒット漫画を生み出した敏腕漫画編集者です。山梨県立吉田高等学校、成蹊大学法学部法律学科卒業後、1975年に集英社に入社。そのキャリアは、日本の漫画史に大きな足跡を残すこととなります。

少年ジャンプ黄金期を支えた編集者

週刊少年ジャンプ編集部への配属後、堀内氏は早くから才能を発揮しました。1976年には、小林よしのり氏による『東大一直線』と、秋本治氏（当時：山止たつひこ）による『こちら葛飾区亀有公園前派出所』（こち亀）の連載開始にあたり、両作品とも初代担当編集者として携わります。特に『こち亀』は、アンケート至上主義のジャンプにおいて40年間もの長期連載を達成。少年誌最長連載記録という金字塔を打ち立て、ジャンプを代表する看板作品に成長しました。これは、堀内氏がアンケートで安定した人気を獲得することに成功した証であり、当時、連載継続の重要な指標であったことを示しています。

幅広い活躍とキャリアアップ

週刊少年ジャンプ編集部では副編集長まで昇進した後、青年誌へと異動。その後『スーパージャンプ』編集長、人事課課長、社長室部次長、第4編集部部長（週刊ヤングジャンプを含む集英社全青年漫画誌を統括）、編集総務部部長など、様々な要職を歴任。2004年8月に役員待遇、2005年8月に取締役、2008年8月に常務取締役、2010年8月に専務取締役と順調にキャリアアップを果たし、2011年8月25日には代表取締役社長に就任。そして2020年8月25日には代表取締役会長に就任しました。

人物像と地域貢献

プライベートではゴルフの腕前も高く、『こち亀』の歴代編集者による大会で優勝経験もあると言われています。また、2007年には出身地の富士河口湖町生涯学習館に『こち亀』全157巻を寄贈するなど、地域貢献にも積極的に取り組んでいます。

漫画家との深い関わり

堀内氏と秋本治氏、小林よしのり氏との関係は特に深いものがあります。担当編集者として両氏と仕事をした経験から、漫画作品の中に堀内氏自身、もしくは氏をモデルとしたキャラクターが登場する場面が多く見られます。

『こち亀』では、初期から実名で何度も登場し、名前をもじったキャラクターも存在します。作品中には、堀内氏を含む当時のジャンプ編集部メンバーが登場するエピソードもあり、その関係性の深さが伺えます。

『東大一直線』でも、堀内氏は脇役として登場していますが、『こち亀』ほど出演頻度は高くありません。しかし、小林よしのり氏の読切作品『竜人寺野サウルス』では、主人公の名前が「堀内丸恵」に設定されるなど、特別な関係性が示されています。

さらに、本宮ひろ志氏の『やぶれかぶれ』にも登場しており、敏腕編集者としての側面が描かれています。

秋本氏と小林氏との間柄は仕事を超えた親交に発展し、プライベートでも親しく交流していたようです。堀内氏の家族に関するエピソードが作品に登場するなど、漫画作品と堀内氏の個人的な生活が深く交差した関係を垣間見ることができます。 息子の名前を募集するエピソードでは、秋本氏、小林氏、さらに小林氏の親友である甲斐よしひろ氏も審査員として参加するなど、その関係性の強さがよくわかります。

まとめ

堀内丸恵氏は、日本の漫画史において重要な役割を果たした人物です。単なる編集者としてではなく、漫画家たちと深く関わり、作品を支え、発展させることに大きく貢献しました。その功績は、数々のヒット漫画の誕生と、長年にわたる『こち亀』の連載という形で、今もなお日本の漫画界に影響を与え続けています。 彼のキャリアは、優れた編集者の資質と、漫画家たちとの強い信頼関係がいかに作品を成功に導くかを示す、極めて貴重な事例と言えるでしょう。

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