東大一直線

東大一直線（とうだいいっちょくせん）

小林よしのりによる日本のギャグ漫画作品。週刊少年ジャンプ（集英社）にて1976年から1979年まで連載され、受験競争が激しかった当時の世相をコミカルに描きました。

概要

作者・小林よしのりの初連載作品であり、連載当時社会問題となっていた受験戦争を背景に、ギャグを交えながら世相をシニカルに表現しています。タイトルの通り、学園を舞台にしたスポ根漫画『柔道一直線』のパロディです。

デビュー作である赤塚賞落選作『ああ勉強一直線』を経て、『男のトラ子女の虎造』の掲載後、『めざせ東大!』、『ああ東大一直線』とタイトルを変え、4作目にして『東大一直線』として連載が開始されました。

続編として『東大快進撃』、その他にも読切の番外編や続編作品が存在し、これらは連続した物語として構成されています。

登場人物

主人公は東大通。本記事では、彼を中心に物語と東京大学を巡る騒動について解説していきます。

物語

連載開始まで

作者の小林よしのりは、大学在学中に『ああ勉強一直線』でデビュー。しかし、当時は漫画の技術が未熟で苦労したようです。編集者との出会いや、手塚賞・赤塚賞の佳作同時受賞などがきっかけとなり、『東大一直線』の連載が決定しました。

中学編

お灘中学校に転校してきた東大通は、ガリ勉ぶりをアピールしますが、実は勘違いばかり。試験の結果発表で「総得点1点で成績800位」を「800点で一番」と勘違いしていたことが発覚し、周囲を呆れさせます。

連載初期

連載当初は打ち切りの危機を感じていた小林ですが、読者の支持を得て人気漫画家となりました。しかし、当時は漫画の知識も乏しく、カラーページの描き方やスクリーントーンの使い方を知らなかったというエピソードも残っています。

高校編

オサール高入試に不合格になった東大通は、東京大学そっくりに改装した優秀館高校に無理やり入学させられます。そこで東京大学進学を目指す団体「いちょう会」を設立しますが、なぜか不良たちの集会のような雰囲気に。

連載終了

人気は徐々に下降し、連載終了が決定。担当編集者からは厳しい言葉を浴びせられ、小林は以後、『週刊少年ジャンプ』から離れることになります。

作中に登場した高校

優秀館高校: 東大通が通うことになった、東京大学そっくりの高校。経営難で学生をかき集めています。
オサール高校: 現役、山田らが通う進学校。東大通は受験に失敗しました。
豚出女学園: 浅野香織や花子が通う女子校。
中央高校: ゆう子と朝子が入学した共学校。相撲部が強い。
肥ノ為高校: 四流校と呼ばれるレベルの低い男子校。
たんの壷高校: 番長グループが入学した、肥ノ為高校よりもさらにレベルが低い高校。
福勝高校: 漫画が入学した高校。デザイン科がある。

東大快進撃

あらすじ

優秀館高校を退学になった東大通は、東京大学を目指して上京。知識ヶ丘学園に編入し、東京大学受験に挑みます。しかし、受験が近づくにつれてライバルは精神を病み、東大通自身も交通事故に遭うなど、様々な困難が待ち受けています。最終的に東大通は驚異的な精神力で東京大学に合格しますが、衝撃的なラストを迎えます。

執筆の背景

『東大快進撃』は、『週刊ヤングジャンプ』創刊時に連載が決定。角南攻の勧めにより、『世紀末研究所』を終了させてまで連載されました。連載開始当初は苦戦しましたが、徐々に人気を集め、ラブコメ漫画を抜いて1位を獲得するほどになりました。

番外編・関連作品

無知との遭遇: 映画『未知との遭遇』のパロディ作品。東大通そっくりの宇宙人が登場します。
こちら葛飾区亀有公園前派出所&東大一直線: 『こちら葛飾区亀有公園前派出所』とのコラボ作品。
帰ってきた東大通: 東京で浪人生活を送る東大通を描いた作品。
愛社一丸はかく働き: 『一直線』とは直接関係ありませんが、東大通が社会人になったようなキャラクターが登場します。
東大必勝法すすめ一直線: ヤング向けのお笑い本。
ディスコ一直線: タバレスの楽曲の邦題。ジャケットイラストを小林よしのりが担当。
新・東大一直線受験戦線学園ドラマ: 小説。

ギャグ

すぺぺっ、ぐぴぴっ: ずっこける時に発するギャグ。
パーペキ: 「パーフェクトで完璧」の意味。光線が出ます。
* パープリン: 「パーなのでまるで脳がプリン」の意味。

パーペキとパープリンは特に有名で、「現代用語の基礎知識」にも掲載されました。

作品の影響

本作は、その後のギャグ漫画やアニメに大きな影響を与えました。受験生の集合シーンなどに東大通が描かれることもあり、バラエティ番組でも東大通のコスプレをするタレントが登場しています。

ミュージシャンの小沢健二など、本作を読んだことが東京大学を志望するきっかけになったという学生もいました。

作者自身の受験経験や、当時の受験テクニックが作中に反映されています。

その他

富山相互銀行（現、富山第一銀行）には、劇中に登場する「東大通支店」がありました。

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