堀内勝

アラブ文化研究の第一人者、堀内勝氏の足跡

堀内勝氏（1942年生まれ）は、日本のアラブ文学研究において卓越した功績を残した言語人類学者にして、中部大学名誉教授です。その専門は言語人類学、そしてアラブ・イスラム世界の地域研究・民族誌に及びます。山梨県甲府市に生まれた堀内氏は、東京外国語大学アラビア語科を卒業後、カイロ・アメリカン大学大学院で研鑽を積み、同大学フェローの称号も得ています。

1983年、中部工業大学産業経済研究所教授に就任。その後、同大学が中部大学に改称した1984年4月からは国際関係学部教授として教鞭を執りました。1986年には『ラクダの文化誌』でサントリー学芸賞を受賞するなど、研究活動においても高い評価を得ています。2013年3月に中部大学を定年退職後も、名誉教授として大学に貢献しています。

多彩な著作活動

堀内氏の著作は、アラブ世界の文化を多角的に捉えたもので、学術的にも高い価値を持っています。代表作である『ラクダの文化誌』は、アラブ社会におけるラクダの飼育や利用に関する包括的な研究であり、サントリー学芸賞受賞という栄誉に輝いています。他にも『砂漠の文化 アラブ遊牧民の世界』、『鷹の書 諏訪藩に残る『鷹書（大）』の翻刻と注解』、『ラクダの跡 アラブ基層文化を求めて』など、アラブ世界の文化、歴史、社会構造を深く掘り下げた著作を多数発表しています。これらの著作は、多くの読者にアラブ文化への理解を深めるきっかけを与えてきました。

さらに、堀内氏は数多くの共著や分担執筆にも携わっており、その範囲はアラブ文学から民俗学、音楽、歴史、食文化に至るまで多岐に渡ります。『現代アラブ文学選』、『中東ハンドブック』、『世界の民話9 インド・中近東』、『世界有用植物事典』、『歴史学事典』など、多様なテーマを扱った書籍に貢献しています。これらの著作を通して、堀内氏はアラブ文化研究に多大な貢献を果たしています。

翻訳活動とブログ

翻訳活動にも積極的に取り組んでおり、タウフィーク・アル・ハキームの作品など、アラブ文学の日本語への紹介にも貢献しています。

近年では、自身の研究ブログ『夜の旅人 研究ブログ』シリーズを運営し、アラブ世界の星ごよみ、基層文化、生活誌、動物誌、天体に関する民俗学・言語人類学的論考を発表し続けています。ブログでは、純血アラブ馬とその血統に関する研究なども取り上げています。

講演活動

講演活動においても活躍しており、2018年には信州イスラーム勉強会で「信州の鷹狩文化とイスラーム世界ー比較の目で」と題した講演を行いました。この講演会の様子はYouTubeで公開されており、多くの視聴者に視聴されています。

まとめ

堀内勝氏は、長年に渡る研究活動を通して、アラブ文化への深い理解と独自の視点を提示し続けてきました。その活動は、単なる学術研究にとどまらず、一般の人々への啓発にも繋がるもので、アラブ文化研究における第一人者として、今後もその存在感はますます大きくなるでしょう。その多岐にわたる研究成果と情熱的な姿勢は、今後の研究者にも大きな影響を与えるものと期待されます。

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