サントリー学芸賞

サントリー学芸賞について

サントリー学芸賞は、公益財団法人サントリー文化財団が主催する日本の学術賞です。1979年に設立され、人文科学や社会科学に関する研究成果を表彰することを目的としています。この賞は、著者が日本語で執筆し、日本国内で出版された著書を対象にしています。受賞者は国籍や職業に制約はなく、多くの場合、大学の教員や研究機関の研究者が選ばれます。

本賞の正賞は楯であり、副賞には200万円が添えられます。それに加え、同一人物による複数回の受賞は認められておらず、物故者やその業績に対する遺族追賞もないのが特徴です。一般に、さまざまな文学賞が存在する中で、学術書を対象とした賞は非常に珍しく、高い存在感と話題性を持っています。特に、若手研究者が受賞することも多く、学際的なユニークな研究が評価される場面が見受けられます。

過去の受賞例には、1994年に大塚英志が、手塚治虫と戦後の漫画文化の関係を論じた著書「戦後まんがの表現空間 記号的身体の呪縛」で社会・風俗部門を受賞した事例があります。また、2002年には、切通理作が宮崎駿への批評的なアプローチをまとめたアニメ論「宮崎駿の〈世界〉」で同部門に選ばれました。このように、サブカルチャーとして軽視されがちな漫画やアニメに対する真剣な研究が高く評価されています。

一方で、選考については批判も寄せられることがあります。その理由は、本賞が学際的な性質を持つため、受賞書籍の専門性に疑問を呈される場合があるためです。特に、2006年の竹内一郎による「手塚治虫＝ストーリーマンガの起源」が受賞した際、漫画研究者からは「受賞にふさわしいレベルの著作ではない」との声が上がりました。

部門及び選考委員

サントリー学芸賞には、4つの主要な部門が存在し、それぞれの専門家による選考が行われます。

1. 政治・経済部門: 政治学や経済学を中心にした研究書
2. 芸術・文学部門: 建築学、音楽学、美術学、文芸学などの作品
3. 社会・風俗部門: 社会学、民俗学、民族学、博物学、人類学に関連する研究
4. 思想・歴史部門: 歴史学、哲学、宗教学に関する著作

現行の選考委員は、部門ごとに複数名が選出され、2022年12月現在で以下のメンバーが活動しています。

• - 政治・経済部門: 大竹文雄、北岡伸一、田所昌幸など
• - 芸術・文学部門: 池上裕子、片山杜秀、沼野充義など
• - 社会・風俗部門: 井上章一、鹿島茂、玄田有史など
• - 思想・歴史部門: 宇野重規、苅部直、熊野純彦など

サントリー学芸賞は、学問の発展に寄与する重要な賞として、今後も注目され続けることでしょう。特に、現代社会が直面する様々な課題に対して新たな視点を提供する研究が選ばれることが期待されています。受賞作品は、学術界だけでなく一般の人々にも影響を与える重要な資料となります。

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