堀内清治

堀内 清治（ほりうち きよはる）

堀内清治は1925年7月8日に生まれ、2008年3月24日に逝去した日本の著名な建築史学者です。熊本大学の名誉教授として、その長いキャリアの中で数多くの学術的貢献を成し遂げました。また、日本建築学会の名誉会員でもあり、彼の業績は特に西洋建築史の研究において突出しています。

堀内は三重県阿山郡上野町（現・伊賀市）出身であり、建築史学の分野では特に西洋建築史の研究を進める上での先駆者とみなされています。彼は、熊本の文化財建造物の保存や町づくりに対しても深く貢献しました。特に九州における建築文化財の保存修復活動では、重要な役割を果たしました。たとえば、赤煉瓦造の熊本地方裁判所の保存運動や、明治期の港である三角西港の保存整備に尽力しました。

学術的業績

堀内の研究は、メソポタミアや地中海地域に広がっています。彼は東京大学の第二工学部を卒業し、1954年から助手としてのキャリアを開始しました。彼の研究は当初、西洋建築史における哲学的・建築論的解釈に重きをおいていましたが、次第に自ら一次資料に触れ、独自の視点を持つようになりました。特に、地中海建築の概念を提唱し、その後の研究においても重要な成果を上げることとなります。

1969年には熊本大学環地中海遺跡調査団を組織しるなど、彼のフィールドワークは多岐にわたり、数千枚に及ぶ建築遺跡の資料を収集しました。この膨大なデータは、後に「地中海建築全三巻」として出版され、世界的な基礎資料としての評価を受けました。この業績により、熊本大学環地中海遺跡調査団は1981年に日本建築学会賞（業績）を受賞し、その後も彼の名声は高まり続けました。

社会的貢献

堀内はまた、地域社会にも多くの貢献をしました。特に、熊本県や熊本市の文化財専門委員会の委員長を長く務め、地域の建築文化財保存に関する活動で貢献しました。熊本アートポリス運動においては、アドバイザーとしても活躍し、1993年には日本建築学会文化賞を受賞するに至りました。

著書と受賞歴

著書には『石の建築』（1958年）、『地中海建築』（1971年）、『地中海古代都市における公共建築の研究』（1987年）などがあり、建築好きの市民や学生に対しての啓蒙活動も忘れませんでした。それ以外にも、多数の翻訳書や研究論文を発表しており、彼の研究は今日でも多くの研究者によって参照されています。さらに、彼は勲三等旭日中授章を受章し、2009年には彼の顕著な業績が認められ、日本建築学会賞大賞を受賞しました。

堀内清治の業績は、単に学術の領域にとどまらず、地域社会や文化に対しても大きな影響を与えました。彼の理論的提言や具体的な活動は、今後も多くの人々に影響を与え続けることでしょう。彼の貢献は、九州の建築文化だけでなく、日本全体における建築史の研究においても重要な役割を果たしたと言えるでしょう。

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