阿山郡

阿山郡：三重県伊賀地方の変遷を刻んだ郡

阿山郡は、三重県に存在した郡です。その歴史は、明治時代の郡制施行に遡ります。本稿では、阿山郡の成立から消滅に至るまでの経緯を、詳細に解説します。


成立と初期の行政

1896年（明治29年）4月1日、それまでの阿拝郡と山田郡を統合する形で阿山郡が誕生しました。発足当初、阿山郡は1町20村の構成でした。郡役所は上野町に置かれ、郡域は現在の伊賀市の一部に相当します。具体的には、伊賀市島ヶ原、法花、七本木、大内、守田町、四十九町、下友生、中友生、界外、上友生、蓮池、高山、坂下以北の地域が含まれていました。明治30年（1897年）9月1日には郡制が施行され、郡の行政機構が整備されました。


昭和時代の合併と変容

昭和時代に入ると、阿山郡は大きな変貌を遂げます。昭和16年（1941年）9月10日、上野町を中心とした複数の村が合併し、上野市が誕生。これにより、阿山郡から上野市が分離しました。その後も、町村合併は相次ぎます。昭和25年（1950年）には、複数の村が上野市に編入されるなど、郡域の再編が積極的に進められました。昭和29年（1954年）、昭和30年（1955年）には、複数の村が合併して新しい村や町が誕生しました。この過程で、阿山村や大山田村などが誕生し、郡の行政区域は大きく変化していきます。


伊賀町の発足と郡の消滅

昭和34年（1959年）3月20日、柘植町と春日村が合併して伊賀町が発足しました。そして、昭和42年（1967年）12月1日には、阿山村が町制を施行して阿山町となりました。阿山郡は、これらの合併を経て、最終的には伊賀町、島ヶ原村、阿山町、大山田村の4つの自治体で構成されることとなります。


伊賀市への統合

平成16年（2004年）11月1日、阿山郡消滅の大きな転換点が訪れます。伊賀町、島ヶ原村、阿山町、大山田村が、上野市および名賀郡青山町と合併し、伊賀市が発足しました。これにより、長きにわたって三重県伊賀地方の地域区分として機能してきた阿山郡は、その歴史に幕を閉じました。伊賀市上野図書館は、阿山郡が運営していた時期があり、その歴史を今に伝えています。


変遷のまとめ

阿山郡の歴史は、明治時代の郡制施行から始まり、昭和時代の数々の町村合併、そして平成の大合併による伊賀市への統合という、激動の時代を反映しています。この過程で、阿山郡は行政区域の変遷を繰り返し、その姿を変えながら、伊賀地方の社会構造の変化を刻んできました。阿山郡の歴史を振り返ることは、伊賀地方の歴史を理解する上で重要な視点となります。


参考文献

「角川日本地名大辞典」編纂委員会 編『角川日本地名大辞典』24 三重県、角川書店、1983年6月1日。ISBN 4040012402。


関連項目

消滅した郡の一覧
伊賀
伊賀市

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