堀切園健太郎

堀切園健太郎

堀切園健太郎（ほりきりぞの けんたろう）は、1970年に生まれた日本の映像作家です。演出家や映画監督として活動し、主にNHKに所属しています。現在は、NHK本部制作局の第2制作センターに位置するドラマ番組部門で、専任ディレクターを務めています。

経歴

学業では明治大学法学部を修め、卒業後の1994年にNHKに入局しました。映像表現に対する探求心から、2004年には1年間、アメリカのハリウッドへ留学。この期間を通じて、映像制作に関する専門知識と技術をさらに深めました。

演出スタイル

堀切園氏の演出は、その細部への徹底したこだわりによって生まれる緻密さと、観る者の心に強い印象を刻むエッジの効いた作風が特徴です。社会の深層に切り込む骨太なドラマから、人物の内面に迫る繊細な描写まで、幅広い題材においてその手腕を発揮しています。

主な作品

テレビドラマの分野で数多くの作品を手掛けています。キャリア初期には若者を描いた『中学生日記』シリーズ（1995年）の複数回を担当しました。その後も、ドラマ新銀河『しあわせ色写真館』（1997年）、NHKドラマ館『デュアル・ライフ』（1999年）といった作品を経て、広くその名を知られるようになったのは、2001年に放送され社会現象ともなった連続テレビ小説『ちゅらさん』への参加です。国民的人気を得たこの作品において、演出の一翼を担いました。

2003年の『川、いつか海へ 6つの愛の物語』の後、彼の手腕が特に評価されたのは、2007年の土曜ドラマ『ハゲタカ』です。現代社会の経済や企業の再生を描いたこの作品は、大きな反響を呼びました。翌2008年には、歴史ドラマの金字塔である大河ドラマ『篤姫』の演出陣に加わり、激動の時代を生きた主人公の姿を一年間かけて丹念に描き出しました。特に、『篤姫』では、ドラマの始まりを印象づけるタイトルバックの演出も手掛けています。

その後も、骨太な社会派作品やミステリー、人間ドラマなど、幅広いジャンルで活躍を続ける堀切園氏は、土曜ドラマ枠で数々の話題作を演出しています。『外事警察』（2009年）、『チャンス』（2010年）、『実験刑事トトリ』（2012年）、『七つの会議』（2013年）、『ロング・グッドバイ』（2014年）といった作品は、その多様な才能を示すものです。

また、ドキュメンタリー要素の強い再現ドラマにおいても才能を発揮し、NHKスペシャル『未解決事件』シリーズのFile.05「ロッキード事件」における実録ドラマパート（2016年）や、『全貌 二・二六事件〜最高機密文書で迫る〜』の再現ドラマパート（2019年）では、歴史的な事件の真実に迫る重厚な演出を見せました。

他にも、日本の放送史の一ページを描いた『紅白が生まれた日』（2015年）、特異な能力を持つ主人公を描いた『スニッファー 嗅覚捜査官』シリーズ（2016年、2018年スペシャル）、現代社会の根深い問題をテーマにした『フェイクニュース あるいはどこか遠くの戦争の話』（2018年）など、多岐にわたる作品で演出を担当しています。

近年では、NHKの枠を超えた映像制作にも携わっており、WOWOWの『がんばれ!TEAM NACS』（2021年）や、Amazon Prime Videoで配信され、後にNHKでも放送された『エンジェルフライト 国際霊柩送還士』（2023年/2024年）など、新たなプラットフォームでの作品も手掛けています。

映画監督としても活動しており、自身が演出した土曜ドラマ『外事警察』の世界観を基にした劇場版『外事警察 その男に騙されるな』（2012年）で映画デビューを果たしました。

受賞歴

映画『外事警察 その男に騙されるな』は、その完成度の高さが国内外で評価されました。2013年には、日本の現代映画を紹介する第8回KINOTAYO現代日本映画祭において、批評家賞を受賞しています。

堀切園健太郎氏は、その卓越した演出力と幅広い表現力で、日本のテレビドラマ界、そして映画界において重要な存在感を示し続けています。

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