堀尾勝明

堀尾勝明：再興を夢見た武将の血筋

堀尾勝明は、寛文2年（1662年）に山城国淀藩主、石川憲之の三男として生まれました。母は梅園実清の娘です。幼名は宮内、後に式部と称しました。彼の人生は、かつて出雲松江藩24万石を領した名門、堀尾家の再興という大きな目標と深く結びついていました。

堀尾家との深い繋がり

勝明の曾祖父である堀尾忠総は、徳川家康の命により、会津征伐の際に堀尾吉晴の娘を正室に迎えることになりました。この婚姻から、忠総の男子7人は全て吉晴の娘から生まれました。さらに、勝明の祖父である廉勝の正室は、吉晴の孫にあたる堀尾忠晴の娘でした。このように、勝明は堀尾家と非常に強い血縁関係を持っていました。

堀尾家は、かつて出雲松江藩を治めていましたが、寛永10年（1633年）に2代藩主忠晴が33歳で亡くなると、後継者がいなかったため、幕府から改易を命じられました。しかし、勝明の祖母の母は、奥平家昌の娘であり、徳川家康の曾孫にあたるビン姫であったため、堀尾家再興への希望が残されていました。

堀尾家再興への動き

石川家の口伝によると、ビン姫は堀尾家再興を強く願っており、将軍綱吉も、豊臣家三中老という立場でありながら、家康に忠義を尽くした堀尾家の断絶を惜しんでいたと伝えられています。綱吉は、自身の学問の師でもあった憲之に対し、堀尾家再興を促したとされています。この背景には、綱吉と憲之の親密な関係があったと考えられます。

勝明は、延宝6年（1678年）に元服し、式部と名乗りました。そして、貞享2年（1685年）には堀尾姓に改め、堀尾家再興に向けて具体的な動きを見せ始めます。貞享3年（1686年）には、将軍綱吉に拝謁し、幕府の籍を持つことになりました。これは、堀尾家再興への大きな一歩と見なされました。

若すぎる死と遺された夢

しかし、勝明は元禄元年（1688年）、28歳という若さでこの世を去りました。彼の死によって、堀尾家再興の夢は叶いませんでした。その後、綱吉は前田玄長に堀尾家の祭祀継承を命じたと伝えられていますが、勝明が成し遂げることができなかった再興は、幻のまま終わりました。

堀尾勝明の生涯は、名門の血を引く者が、その家を再興しようと奮闘しながらも、志半ばで倒れてしまった悲劇として語り継がれています。彼の人生は、歴史の中で忘れ去られることなく、後世に語り継がれるべき教訓を含んでいると言えるでしょう。

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