奥平家昌

奥平家昌（おくだいら いえまさ）は、安土桃山時代から江戸時代初期にかけての武将であり、大名です。彼は下野国宇都宮藩の初代藩主であり、第26代宇都宮城主でもありました。

家系

奥平家昌は、美濃加納藩主・奥平信昌の長男として生まれました。母は徳川家康の長女である亀姫（加納御前）であり、松平家治、奥平忠政、松平忠明は彼の弟にあたります。正室は本多忠勝の次女・法明院であり、子には奥平忠昌（長男）とビン姫（徳川秀忠の養女、堀尾忠晴正室）がいます。

略歴

若い頃

元服の際、家康から偏諱を受けて家昌と名乗りました。家康にとっては最年長の男孫であったため、刀や鷹を与えられるなど、非常に重用されました。文禄4年（1595年）には、豊臣姓を下賜されています。

慶長5年（1600年）の関ヶ原の戦いでは、木曾路を進む徳川秀忠に従い、真田昌幸が守る信濃上田城を攻めました。

宇都宮藩主

慶長6年（1601年）、関ヶ原の戦いの勝利後、父・信昌が美濃加納10万石を与えられたため、家昌は上野宮崎領に留まりました。その後、同年12月28日（1602年）、家昌も北関東の要地である下野宇都宮10万石を与えられ、翌年1月25日（1602年）に入国を果たしました。これは、家康が北関東の要衝である宇都宮藩に誰を配置すべきか天海僧正に相談した際、天海が奥平大膳（家昌）に与えるべきと答えたことが決め手となりました。

宇都宮への加増転封に伴い、家昌は文武に秀でた浪人を多く召し抱え、新たな家臣団を編成しました。しかし、三河時代からの家臣団制度が機能しなくなったことを痛感し、重臣制度の改正に着手しました。奥平家では、長篠の戦いで父を助けた重臣12家を「七族五老」と呼んでいました。これは、元々宗家を支えていた7家と、重臣として政務を担当させた5家を合わせたものです。家昌は、これらの家々を「大身衆」と呼称変更し、12家の中から数家が交代で国政を担当する体制に改めました。この改革により、家臣団の負担を軽減し、より効率的な藩政運営を目指しました。

家昌は宇都宮の城下町整備にも尽力し、毎月5日と10日に市を開催しました（大膳市）。また、幕府が宇都宮大明神の社殿造営を始めると、伊奈忠次と共に奉行を務めました。慶長16年（1611年）には、正室である本多氏（もり姫）が死去しました。慶長19年（1614年）には、堀利重の身柄を預かっています。

最期

家昌は小鼓を嗜んでいたと伝えられています。慶長19年（1614年）、大坂冬の陣のため出兵を命じられましたが、病を患い遠征には参加できませんでした。そのため、江戸城の本丸留守居役を命じられましたが、同年10月10日に宇都宮で死去しました。享年38歳でした。

嫡男である忠昌が跡を継ぎましたが、後に下総古河藩へ移封されました。その後、本多正純が宇都宮藩主となりましたが、宇都宮城釣天井事件で改易されたため、再び忠昌が宇都宮に戻りました。

異説

黒田基樹は、家昌が信昌の庶長子であり、母親は亀姫ではない可能性を指摘しています。その根拠として、家昌が松平姓を称した記録がないことや、関ヶ原の合戦後に父とは別に宇都宮10万石を与えられていることなどを挙げています。

系譜

父：奥平信昌（1555年 - 1615年）
母：亀姫（1560年 - 1625年） - 徳川家康の長女
正室：もり姫 - 本多忠勝の次女
女子：ビン姫（1607年 - 1652年） - 徳川秀忠の養女、堀尾忠晴正室
* 長男：奥平忠昌（1608年 - 1668年)

奥平家昌は、若くして宇都宮藩主となり、城下町の整備や家臣団の再編など、藩政の基礎を築きました。彼の功績は、宇都宮の発展に大きく貢献したと言えるでしょう。

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