堅田外司昭

堅田 外司昭（かただ としあき）

1961年10月22日、石川県に生まれる。元高校野球の審判員であり、社会人野球では投手として活躍した経験を持つ。現在は、日本高等学校野球連盟の理事として、高校野球の発展に貢献している。

選手としての道のり

金沢市立森本中学校を卒業後、星稜高等学校に進学。在学3年目にあたる1979年には、5番打者兼投手として春夏連続で甲子園の土を踏んだ。春の第51回選抜高等学校野球大会では初戦で涙をのんだが、夏の第61回全国高等学校野球選手権大会では、初戦にあたる2回戦を突破。続く3回戦では、和歌山県立箕島高等学校との間で、高校野球史に刻まれる壮絶な試合を繰り広げた。延長18回におよぶ激闘の末、サヨナラ負けという形で幕を閉じた。

この試合後、堅田氏は野球から離れることを考えていたという。しかし、グラウンドを去る際に、この試合の球審を務めた永野元玄氏から使用されたボールを手渡されたことが、その後の人生に大きな影響を与えた。後に堅田氏は、そのボールを「一生の宝物」とし、「ボールを見るたびに、あの試合に恥じない生き方をしようと思った」と語っている。

高校卒業後は、野球を続ける選択をし、松下電器（現パナソニック）に入社。同社の野球部で選手として5年間プレーしたが、目立った成績を残すことはできず、その後8年間はチームのマネージャーとして裏方からチームを支えた。

審判としての献身

社業に専念する傍ら、「野球界に恩返しをしたい」という強い思いを抱いていた堅田氏は、1990年から大阪府野球連盟に所属し、社会人野球の審判としてのキャリアをスタートさせた。

2002年に大阪府高等学校野球連盟との交流制度が開始されたことを機に、翌年の春季近畿大会で審判を務め、高校野球の舞台に復帰。同年夏の第85回全国高等学校野球選手権大会では、東北高等学校と筑陽学園高等学校の一戦で二塁塁審を務め、選手として経験した甲子園のグラウンドに、今度は審判として戻ってきた。

以来、約19年間にわたり、堅田氏は高校野球のグラウンドに立ち続けた。「球児たちには、それぞれの『最高試合』をしてもらいたい。思いやりのあるジャッジで、そのお手伝いがしたい」という信念のもと、数々の熱戦を見守り、公正なジャッジを下してきた。

その審判人生の幕を閉じたのは、2021年の夏。第103回全国高等学校野球選手権大会の決勝戦、智辯学園和歌山高等学校と智辯学園高等学校という両智辯対決が、堅田氏にとって最後のジャッジの場となった。この試合を最後に、審判委員としての活動を勇退した。

高校野球への継続的な貢献

審判員を退いた後も、堅田氏は高校野球との関わりを続けている。2022年からは選抜高等学校野球大会の選考委員を務め、春の甲子園に出場するチームを選定する役割を担った。さらに、2023年からは公益財団法人日本高等学校野球連盟の理事に就任。組織運営の中枢で、高校野球全体の発展に向けた活動に取り組んでいる。

選手として甲子園の伝説の一戦を経験し、審判として多くの球児たちの「最高の試合」を見守り、そして現在は運営側として高校野球を支える堅田氏。その半生は、高校野球と共に歩んできた道のりと言えるだろう。高校野球に対する深い愛情と情熱をもって、これからもその発展に寄与していくことが期待されている。

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