堆朱楊成

堆朱楊成の歴史と伝承

堆朱楊成（ついしゅ ようぜい）は、南北朝時代から現在に至るまで、21代にわたる日本の堆朱工の系譜です。堆朱とは、漆による彫刻技法の一種で、その美しい仕上がりと精緻な彫刻が特徴です。この伝統工芸は、初代の長充（ちょうじゅう）が足利氏の臣として1360年に始めたことに始まります。

初代から9代までの系譜

初代の長充は、元の名工から受け継いだ技術を基に、日本で初めての堆朱を制作し、足利義詮将軍から称賛を受けました。彼はその後、楊成の名を賜り、堆朱の先駆者とされました。2代の長辰（ちょうしん）も足利義持に仕え、応永から嘉吉時代にその地位を守りました。続く3代から5代（長貞、長嗣、長繁）もそれぞれの時代に堆朱技術を継承し、更に発展させました。

6代からの長秀、そして7代の長親は、豊臣秀吉に仕え、特に茶器製作に秀でた作品を残しました。彼の作品は「難波彫」として有名です。8代の長宗は独特の作風を持ち、厚貝や青貝を彫り込む技術で知られ、多くの影響を与えました。

9代の長善は承応時代に楊成を継承し、1680年にその生涯を閉じました。

徳川家との関係

10代の長是は、徳川綱吉に仕え、その後も代々徳川家に仕官するようになります。この家系の特徴として、長い間にわたって数世代にわたり徳川家に貢献してきたことが挙げられます。11代から18代までにわたる家系は、各代が31年や41年にわたり忠実に仕え続けてきました。特に国平（18代）や経長（19代）はそれぞれ独自の足跡を残し、明治維新を経て新たな局面を迎えることになります。

近代における展望

20代の長は、若い頃から優れた技術を学び、数々の美術展で受賞し、楊成の名を世に広めました。彼の努力により、1930年代には「楊成会」が組織され、作品を支える基盤が形成されることになります。21代として継承された克彦も、東京美術学校を卒業後、家業を引き継ぎました。

堆朱楊成の歴史は、日本の伝統工芸が続いていく中で、世代を超えた技術の継承と発展を象徴しています。彼らの努力と情熱は、今もなお日本の工芸界に影響を与え続けているのです。

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