報国丸 (特設巡洋艦)

布告丸の歴史と運命

概要

報国丸（ほうこくまる）は、大阪商船が南アフリカ航路に投入するために建造した貨客船です。この艦は報国丸級貨客船のネームシップであり、1939年に進水、1940年に引き渡されました。報国丸は太平洋戦争の開戦前に日本海軍に徴用され、特設巡洋艦へと改造されました。この艦はじめ、姉妹艦愛国丸と共に、南太平洋やインド洋において通商破壊行動を行いました。

太平洋戦争前の航海

報国丸は1938年に起工し、1939年7月5日に進水しました。その後、1940年6月に引き渡され、横浜港から大連へ向かう処女航海を成功させます。この航海の後、報国丸はアフリカ航路に就航し、多くの港を経由しながら南米に向かいます。約90日間の航海を経て、1939年9月23日にリオデジャネイロに到着し、その後11月には大阪に帰港しました。

海軍への徴用と改造

1941年8月29日、報国丸は海軍に徴用され、三菱神戸造船所で特設巡洋艦への改造が開始されます。9月20日には改造が完了し、「報国丸」と「愛国丸」からなる第二十四戦隊が新編され、海軍の指揮下に入りました。この艦の改造に際し、様々な装備が追加され、兵装や航空機も搭載するようになりました。特に、魚雷発射管が装備されるなど、戦闘任務に対応できる体制が整えられました。

戦争への従事

1941年12月8日の太平洋戦争開戦時、報国丸は戦隊旗艦として南太平洋の海上交通破壊任務に従事します。最初の任務では、アメリカの貨物船「ビンセント」を拿捕し、その後沈めることに成功しました。続けて、「愛国丸」と共に更なる敵船に対する攻撃を行い、戦果を挙げていきました。

インド洋での活動

1942年には、インド洋での通商破壊作戦にも参加します。しかし、任務を続ける中で、報国丸は1942年11月11日、ココス諸島近海で連合国の油槽船「オンディナ」と遭遇。戦闘において、敵艦の攻撃により搭載していた魚雷が誘爆し、報国丸は沈没する運命を辿ります。この際、艦長を含む98名が戦死し、多くの乗員が報国丸から救出されるも、艦そのものは失われました。

まとめ

報国丸はその短い生涯の中で、太平洋戦争の初期における通商破壊戦において重要な役割を果たし、激しい戦闘を経て沈没しました。報国丸の活動は、当時の日本海軍の戦略を考える上で欠かせないものとなっています。その歴史は、戦争の厳しさと軍艦の運命を象徴するものであり、多くの資料や証言が今も残されていることから、艦の存在は今なお語り継がれています。

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