塘沽協定

澤沽協定についての解説

塘沽協定（タンクーきょうてい）は、1933年5月31日に中国河北省塘沽で、日本軍と中国軍の間に成立した停戦協定です。この協定の締結により、「柳条湖事件」から始まった満洲事変の激しい軍事衝突が収束に向かいました。この協定は「塘沽停戦協定」とも呼ばれています。

背景

塘沽協定の締結に至った背景には、熱河省の地理的・戦略的な重要性があります。熱河は歴史的に清朝の夏の避暑地であり、その位置は満洲と本土中国の境界に位置しています。満洲国の建国宣言においてもこの地域は一部とされ、当時、熱河は北京を脅かす存在でした。また、アヘン栽培が盛んな地域であったため、地域の支配を巡る争いも含め、多くの利益が集中しました。

熱河を支配していた湯玉麟はかつて張学良の部下であり、当時の中国軍の指導者として重要な役割を果たしていました。湯は正規軍と不正規軍の約2万人を動員させて地域の防衛に当たっていましたが、南側や西側からは張学良の軍事力、日本軍の脅威が迫っていました。蔣介石は湯が熱河省とアヘン市場の確保に焦点を当てていると見ていました。

朝陽寺事件

1932年の朝陽寺事件では、日本の関東軍の石本権四郎が拉致され、日本軍はその奪還に向かいました。この事件を受けて日本側は熱河省に対する完全な制圧を計画しましたが、中華民国外交部は抗議を行い、国際的な対立が激化しました。日本側によれば、事件の背後には張学良が関与していたとされています。

山海関事件

続いて発生した山海関事件もこの地域における対立を深める要因となりました。日本軍は山海関周辺に増派し、兵力を強化しましたが、1月1日に発生した衝突では中国軍と日本軍の間で小規模な戦闘が起こり、さらなる緊張をもたらしました。この戦闘では、応戦する日本軍が中国軍を押し返す形となり、再度停戦協定に向かう動きが必要とされました。

国民党の抗日運動

1932年12月には国民党中央委員会が抗日運動を計画しましたが、蔣介石はその後共産党への対処を優先し、抗日運動を潜在的な脅威として扱うようになりました。1933年には北方の軍事闘争が本格化し、東北地区での新たな抗日行動が始まりました。

熱河作戦

1933年2月、張学良が熱河省に進軍し、日本側はこれに対抗して熱河作戦を展開しました。最終的に日本軍は熱河に進撃し、連携して中国義勇軍に対抗し、状況を有利に進めることを目指しました。最終的には熱河省が手中に納められることになります。これらの一連の事件は塘沽協定に向けた動きを加速化させました。

協定の成立とその影響

1933年5月31日、塘沽において、中国側と日本側の代表が停戦協定に調印しました。協定の内容は、中国軍が決められた地域から撤退し、以後の挑発行為を行わないことや、日本軍の撤退を確認するための視察の実施が含まれていました。

この協定は成立したものの、その後の数年間には地域の緊張は続き、1935年にはこの協定に基づく非武装地帯内で自治運動が展開されました。これを背景として、新たな政治的動きが生じ、地域の安定を求める動きが見られました。このように、塘沽協定は当時の中国近代史に大きな影響を与えた重要な出来事であると言えます。

もう一度検索