塚田富治

塚田富治（つかだ とみはる、または、つかだ とみじ、1946年10月30日 - 2001年12月12日）は、日本の著名な政治学者、政治史家です。特にイギリス政治史を専門とし、その研究は学界に大きな影響を与えました。

富山県出身の塚田氏は、1976年に東京都立大学大学院社会科学研究科博士課程を修了し、法学博士号を取得しました。彼の博士論文「トマス・モアにおける宗教と政治 イギリス・ルネサンス期政治思想研究序説」は、後の研究活動の基礎となりました。

その後、一橋大学社会学部助教授、言語社会研究科教授を歴任し、多くの学生を指導しました。教育者としても熱心であり、学生からの信頼も厚かったと伝えられています。

塚田氏の研究は、政治思想史の中でも特にイギリスの思想家や政治家を対象としたものが多く、その深い洞察力と緻密な分析は高く評価されています。特に、トマス・モア、フランシス・ベーコン、マキアヴェッリといった人物の思想を深く掘り下げ、彼らの思想が現代社会に与える影響について考察しました。

また、塚田氏は受動喫煙に批判的であり、一橋大学の禁煙化に尽力したことでも知られています。健康問題にも強い関心を持ち、その姿勢は多くの人々に影響を与えました。

2001年12月12日、呼吸不全により55歳で逝去されました。その早すぎる死は、学界に大きな損失をもたらしました。

著作

塚田氏は、数多くの著作を残しています。以下はその一部です。

単著
『トマス・モアの政治思想 イギリス・ルネサンス期政治思想研究序説』（木鐸社、1978年）：初期の代表作であり、トマス・モアの政治思想を詳細に分析した研究書です。
『カメレオン精神の誕生 徳の政治からマキアヴェリズムへ』（平凡社、1991年）：政治思想史における重要な転換期を捉え、マキアヴェリズムの起源とその影響を考察しました。
『政治家の誕生 近代イギリスをつくった人々』（講談社〈講談社現代新書〉、1994年）：近代イギリスを形成した政治家たちに焦点を当て、彼らの功績と人間像を描きました。
『ベイコン もうひとつの近代精神』（研究社出版〈イギリス思想叢書〉、1996年）：フランシス・ベーコンの思想を深く掘り下げ、彼の近代思想における重要性を明らかにしました。
『近代イギリス政治家列伝 かれらは我らの同時代人』（みすず書房、2001年）：イギリスの政治家たちの生涯とその思想を、現代的な視点から考察しました。

翻訳
クェンティン・スキナー『マキアヴェッリ 自由の哲学者』（未来社、1991年）：マキアヴェッリの思想を、現代の政治思想の文脈で捉え直しました。


これらの著作は、塚田氏の深い学識と洞察力を示すものであり、現在でも多くの研究者や学生に読まれています。

塚田富治氏は、その短い生涯の中で、イギリス政治思想史研究に多大な貢献をしました。彼の業績は、今後も多くの人々に影響を与え続けるでしょう。

もう一度検索