みすず書房

株式会社みすず書房

株式会社みすず書房は、哲学、科学、心理学、現代史、西洋史、社会学などの専門書の出版を行う学術出版社です。会社の前身である美篶書房として1945年に創業されましたが、その後社名を変更しました。多様な知識の探求を目的とした彼らの出版活動は、学術界に広く影響を与え続けています。

創業の背景

1945年の秋、復員した小尾俊人が、同僚であり戦友でもある和田篤志に対して「出版社か農業をやろう」と提案したことがこの出版社の始まりでした。これをきっかけに結成された設立発起人たちの努力によって、1945年12月に正式な創業の申し合わせが行われました。その初めての出版物は、1946年7月に発行された片山敏彦の『詩心の風光』でした。社名が美篶書房から現在の名称に変わったのは、読者からの指摘を受けてのことでした。このように、時代の流れに敏感な出版社としての姿勢が求められました。

出版の特色

みすず書房が手掛ける書籍の内容は、高度な専門性を伴うため、価格が高めに設定されることが多いです。そのため、一般読者にとっては少し敷居の高い印象を与えがちですが、専門的な知識を求める読者には重宝されています。また、全国の常備店を通じて新刊や既刊書の販売を行い、品切れになった書籍の復刊も手掛けています。彼らは「日本書籍出版協会」や「人文会」「心理学書販売研究会」などの団体に所属しており、知識の普及に努めています。

月刊『みすず』の停止

2023年には月刊『みすず』が休刊となり、公式サイト「WEBみすず」を通じての情報発信に移行しました。また、毎年行われていた「読書アンケート」も2024年から書籍として新たに刊行されることとなりました。この変化は、デジタル化の進展を受けたものと捉えられます。

著名な作品

みすず書房から発刊された著名な書籍には、ロマン・ロランの『ロマン・ロラン全集』や、ハンナ・アーレントの『イエルサレムのアイヒマン』などがあります。また、近代の著名な作家や思想家の作品が多数揃っており、特に文学や哲学の分野では多様なジャンルを網羅しています。これにより、研究者や愛好家からの支持を受け続けています。特に赤瀬川原平は同社の書籍の内容の難解さから、『白難解』と表現するなど、その文学的価値を評価しています。

組織の歴史

社長としての歴史も特筆に値します。初代社長の清水丈男から、北野民夫、小熊勇次、加藤敬事、荒井喬、持谷寿夫、守田省吾、そして現社長の能登健に至るまで、各社長が持ち味を生かしながら会社の方向性を定めてきました。各社長の時代において、さまざまな変革や改革がありましたが、常に高い専門性を持った書籍の提供は変わらないブランドとして確立されています。

まとめ

みすず書房は、学術的な価値を持った出版物を通じて、社会に貢献しています。これからも、時代に即した知識の探索と共有を通じて、さらなる発展が期待される出版社です。

もう一度検索