塚越恒爾

塚越 恒爾（つかごし つねじ）

1931年1月8日、東京生まれ。2016年3月21日逝去。元NHKアナウンサーであり、児童文学作家としても知られます。

生涯とキャリア

「神風号」のパイロットとして名を馳せた塚越賢爾氏を父に持ち、幼少期を東京で過ごしました。1955年に横浜国立大学工学部を卒業。当初は父の跡を継ぐように、朝日新聞社で航空関連の分野に進むことを志していたとされます。しかし、父とも親交のあった斉藤寅郎氏からの「君は本流を歩きなさい」という助言を受け、進路を変更。日本放送協会（NHK）にアナウンサーとして入局する道を選びました。

NHKでは、長年にわたりアナウンサーとして多岐にわたる番組を担当。特に、国民的な関心を集めた重大な出来事の報道に携わりました。例えば、1972年に発生したあさま山荘事件では、緊迫した現場からのレポートを届け、また、1969年のアポロ11号による人類初の月面着陸という歴史的瞬間を伝える報道特別番組でも重要な役割を果たしました。これらの経験は、アナウンサーとしての塚越氏のキャリアにおいて特筆すべきものです。

担当番組としては、『午後のひととき』や『奥さんごいっしょに』といった、視聴者との距離が近い生活情報番組なども担当し、その親しみやすい語り口で多くの人々に親しまれました。

定年退職後の活動

1987年にNHKを定年退職した後も、精力的に活動を続けました。対話総合研究所を設立し、コミュニケーションスキルや話し方に関する指導にあたるなど、後進の育成に力を注ぎました。

また、長年の夢であった児童文学の世界にも本格的に取り組み始めます。童話の執筆活動を行う一方、「ファンタ爺さん」と名乗り、全国各地の小学校などを訪れて子どもたちに物語を語り聞かせる口演活動を展開しました。この活動を通して、古来より伝わる語り伝えの文化を広めることにも尽力しました。その温かい人柄と語りは、多くの子供たちに夢と感動を与えました。

著書と「ファンタ爺さんのうた」

話し方やコミュニケーションに関する著書を多数執筆しており、『あなたも国際人 恥をかかなくてすむ旅行・交際・日常マナー』、『ディスカッション入門 会議を成功させるじょうずな話し方』、『話しべたに勇気を与える本 話し上手になる秘訣』、『口べたがなぜ人をつかむのか』などがあります。これらの著作は、彼の長年のアナウンサーとしての経験や、退職後の対話指導の知見に基づいています。

児童文学作品としては、『コッコとコッカの冒険 ファンタ爺さんの物語』、『金色の雲になったトラ』、『天馬と少年』などがあり、自身の口演活動と連動した作品も多く手掛けました。これらの作品では、つかごしていじ氏が絵を担当しています。

NHKの子供向け番組『みんなのうた』で2004年に放送された楽曲「ファンタ爺さんのうた」は、塚越恒爾氏の「ファンタ爺さん」としての活動や人柄をモデルにして作られたものとして知られています。

多岐にわたる活動を通じて、情報伝達のプロフェッショナルとして、そして物語を通して子供たちの心を豊かにする語り手として、塚越恒爾氏は多くの人々に影響を与えました。墓所は東京都府中市にある多磨霊園にあります。

（主な著書・共著は割愛）

関連項目
日本の小説家一覧
児童文学作家一覧

多磨霊園
神風号
アポロ計画
あさま山荘事件
* みんなのうた

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