塩素酸カルシウム

塩素酸カルシウム：性質、製造、安全性に関する解説

塩素酸カルシウムは、化学式Ca(ClO3)2で示される無機化合物です。カルシウムの塩素酸塩であり、その強力な酸化作用が特徴です。水への溶解度が高く、潮解性も併せ持っています。そのため、花火の製造など、特定の用途で利用されています。

物理的性質と化学的性質

塩素酸カルシウムの二水和物は、無色の結晶構造をしており、単斜晶系に分類されます。水への溶解度は非常に高く、空気中の水分を吸収して溶ける潮解性を示します。エタノールやアセトンにも溶ける性質を持っています。

100℃に加熱すると溶融し、さらに加熱を続けると結晶水を失い、酸素を放出しながら分解反応を起こします。この分解反応は発熱反応であり、取り扱いには注意が必要です。

製造方法

塩素酸カルシウムは、水酸化カルシウム水溶液に塩素ガスを吹き込むことで合成されます。この反応は、塩素ガスの不均化反応を利用したものです。具体的には、水酸化カルシウム懸濁液を加熱しながら塩素ガスを通気すると、塩素酸カルシウムと塩化カルシウムが生成し、結晶として析出します。

化学反応式は以下の通りです。

6Ca(OH)2 + 6Cl2 → Ca(ClO3)2 + 5CaCl2 + 6H2O

水溶液からの結晶化においては、温度が76℃未満では二水和物、76℃以上では無水物が析出します。

安全性と法規制

塩素酸カルシウムは強い酸化性を有するため、取り扱いには細心の注意が必要です。可燃物との接触は厳禁です。GHS（グローバルハーモナイゼーションシステム）では、酸化性固体（区分2）に分類されており、各国で貯蔵や運搬に関する規制が設けられています。国連番号は1452です。

日本においては、船舶安全法や航空法によるGHSに基づいた規制が適用されています。さらに、消防法では危険物第1類、毒物及び劇物取締法では劇物に指定されており、厳格な取り扱い規定が定められています。これらの法規制を遵守した上で、適切な保管、運搬、廃棄を行うことが重要です。

関連物質

塩素酸カルシウムと類似した化合物として、次亜塩素酸カルシウム（さらし粉）が挙げられます。次亜塩素酸カルシウムは漂白剤として広く利用されていますが、塩素酸カルシウムとは化学的性質が異なり、酸化力は塩素酸カルシウムの方がはるかに強いです。

まとめ

塩素酸カルシウムは、強い酸化性を有する無機化合物であり、花火などの用途に使われています。その製造、性質、そして安全性に関する知識を理解し、関連法規制を遵守することで、安全な取り扱いを実現することが重要です。

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