塵骸魔京

『塵骸魔京』：人外と人間の交錯する物語

『塵骸魔京』は、ニトロプラスが2005年6月24日に発売した、成人向けの人外伝奇アドベンチャーゲームです。原画はNiθとヨダ、シナリオは夜刀史朗（海法紀光のペンネーム）が担当。テーブルトークRPG『BEAST BIND 魔獣の絆 R.P.G』のキャンペーンシナリオを基に制作されました。「魔なる京に骸は塵りぬ」というタイトルが示すように、物語は重厚な雰囲気に包まれています。

概要：共感能力の欠如と、人間らしさへの歩み

舞台は、人々の生活の裏側で魔物が活動する世界。主人公の九門克綺は、著しく共感能力が欠如しており、作中では何度も「心臓がない」と表現されています。これは、物理的な心臓だけでなく、精神的な共感能力も欠如していることを意味します。しかし、克綺は決して共感しようとしないわけではなく、読書を通して人の心を理解しようと努力する誠実な人物です。

克綺は、様々な魔物や人間と出会い、異なる価値観に触れる中で、少しずつ「人間らしさ」を身につけていきます。ゲームシステムはビジュアルノベルに近いもので、文章を読み、選択肢を選んで物語を進めるマルチエンディング方式を採用。バッドエンドを選んだ場合でも、原因となった選択肢まで自動的に戻ることができる親切設計です。ただし、文章量は多く、難解な表現もあるため、読者にはある程度の集中力と解釈力が求められます。

主要登場人物：個性豊かなキャラクターたちが織りなすドラマ

九門克綺（くもん かつき）：主人公。論理的な思考を好む反面、共感能力が著しく欠如している青年。右目が赤、左目が緑のオッドアイですが、周囲の人間はそれに気づいていません。物語の中盤以降、全人類の魔力の中継点である「門」としての能力が明らかになります。

イグニス：メインヒロインの1人。人類の守護者の1人で、「最も気高き刃」と呼ばれています。かつては強大な魔力を持つ存在でしたが、現在は魔力が弱まっており、様々なトラップや武器を用いて戦います。冷徹な一面も持ちますが、お人好しな一面も見せる複雑な人物です。

風のうしろを歩むもの：人狼族の少女。衰退しつつある一族の再興を目的に、「婿探し」と「門探し」を目的として街にやってきます。魔力によって風を操る能力を持ち、その能力は真空の中でも発揮されます。真名は人語では発音できないとされています。

花輪黄葉：主人公の住むアパートの管理人。年上の女性で、克綺や周囲の人々を優しく見守る存在です。実は人類の守護者の1人で、「最も古い祈り」と呼ばれています。人外に対して圧倒的な力を持つ機械人形です。

その他にも、主人公の妹である九門恵、友人である峰雪綾、クラスメイトの牧本美佐絵、吸血鬼一族の長であるメルクリアーリ・ジョヴァンニ、ストラス製薬の社長である神鷹士郎など、個性豊かなキャラクターが多数登場し、物語を彩ります。ストラス製薬の実験体として改造された人間たちも重要な役割を果たします。 特にノベライズ版では、牧本美佐絵がメインヒロインとして活躍し、ゲーム本編では描かれなかった彼女の過去や、ストラス製薬との戦いが描かれています。

関連商品：ゲームの世界観をさらに深く楽しむ

『塵骸魔京』は、ゲーム本編以外にも、小説版（『塵骸魔京〜ファンタスティカ・オブ・ナイン〜』『塵骸魔京〜ライダーズ・オブ・ダークネス〜』）、公式読本『百歌絵巻 塵骸魔京公式読本』、そしてトレーディングカードゲーム『Lycee』や『ドミニオンキャラクターズ』など、多くの関連商品が発売されています。また、『ニトロ+ロワイヤル -ヒロインズデュエル-』や『ニトロプラス ブラスターズ -ヒロインズ インフィニット デュエル-』といった作品にもイグニスが登場しています。

まとめ：独特の世界観と魅力的なキャラクターが融合した傑作

『塵骸魔京』は、重厚なシナリオ、魅力的なキャラクター、そして美しいイラストが融合した、ニトロプラスを代表する作品の一つです。独特の世界観と複雑な人間模様、そして予想外の展開に満ちた物語は、プレイヤーに忘れられない体験を与えてくれるでしょう。 ゲーム本編だけでなく、関連作品に触れることで、より深くこの世界観を楽しむことができるでしょう。

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