境界確定の訴え

境界確定の訴え（けいかいかくていのうったえ）は、隣接する土地の筆界（ひっかい：公法上の土地の境界）の位置に関して争いが生じた際に、裁判所の判決によってその筆界を確定させることを求める訴訟です。この訴訟は「境界確定訴訟」とも呼ばれます。

概要

境界確定の訴えは、公法上の土地単位である「筆」同士の境界、すなわち筆界を画定することを目的とするため、通常の訴訟とは異なるいくつかの特徴があります。重要な点として、私法上の土地所有権の境界である「所有権界」を確定する所有権確認訴訟とは異なる訴訟であるということが挙げられます。

通説では、境界確定の訴えは形式的形成訴訟の一種とされています。これは、訴訟という形式をとりながらも、その内容は非訟事件に類似しているという考え方です。なぜなら、形成の基準となる実体法規が存在せず、裁判所は要件事実の認定や法規の適用といった通常の法的判断を行うのではなく、合目的的な判断によって裁判を行うからです。

このため、境界確定の訴えには以下のような特質が見られます。

処分権主義の制限: 原告は、請求の趣旨として単に「境界線の画定を求める」と記載すれば足り、特定の境界線の存在を主張する必要はありません。
弁論主義の排除: 裁判所は、当事者が主張しない事実であっても判決の基礎とすることができます。また、裁判所は当事者の主張する境界線に拘束されず、自由に境界線を画定できます。さらに、上訴審における不利益変更禁止の原則も適用されません。
証明責任法理の排除: 裁判所は、たとえ境界線が不明確であっても、証明責任によって請求を棄却することができません。

境界確定の訴えの当事者となる資格（当事者適格）は、隣接する土地の所有者に認められます。

2006年1月には、より簡易な行政手続きである筆界特定制度が導入され、司法手続きである境界確定の訴えと並行して利用できるようになりました。

注釈

筆界: 公法上の土地の境界を指し、登記によって定められます。筆界は、所有権界（私法上の土地の境界）とは異なる概念です。
形式的形成訴訟: 訴訟の形式をとりながらも、その内容は非訟事件に類似する訴訟を指します。裁判所は、当事者の主張に拘束されず、事実関係を調査し、公平な解決を目指します。
筆界特定制度: 土地の境界について争いが生じた場合に、専門家が現地調査や測量を行い、境界を特定する行政手続きです。裁判所での訴訟よりも簡易かつ迅速な解決が期待できます。

関連項目

形式的形成訴訟
筆界特定制度

外部リンク

実務の友『境界確定訴訟概説』
土地境界確定について

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