増井経夫

増井経夫について

増井経夫（ますい つねお）は、1907年1月28日に東京都で生まれ、1995年6月17日に逝去した日本を代表する東洋史学者です。彼は特に清代史に関する研究で知られ、その専門性が多くの著書や教え子に影響を与えました。彼の学問の軌跡および業績について詳しく見ていきましょう。

学歴と経歴

増井は東京帝国大学文学部東洋史学科に進み、1930年に卒業しました。彼の卒業論文は「清代の広東貿易について」と題され、既にこの時期から彼の関心が清代に寄せられていたことが伺えます。卒業後は日本大学や東京外国語大学、明治学院大学、武蔵高等学校などで講師として教鞭を執った後、武蔵大学教授を経て金沢大学法文学部教授に就任しました。1972年には金沢大学法文学部の教授を定年退官しました。

主な著書

増井経夫は多くの歴史書を執筆し、その内容は清代の政治、経済、文化を深く掘り下げています。代表作には1951年に出版された『太平天国』や、1956年に発表された『アヘン戦争と太平天国』があります。これらの著作は清代の歴史を学ぶための重要な資料とされ、アカデミックな評価を受けています。

また、1972年に出版された『中国の歴史と民衆』や、1974年の『中国の歴史7　清帝国』も彼の研究の集大成として位置付けられています。特に『大清帝国』（2002年）は、清代の全体像を把握するために必読の書となっています。

増井はさらに他の著者との共著や翻訳にも力を入れており、1941年にはH.B.モースの『支那ギルド論』を日本語に翻訳しました。リンドレーによる『太平天国　李秀成の幕下にありて』は今村与志雄と共訳で発表され、1964年から1965年の間に全4巻が出版されました。

学問の影響

増井経夫の業績は日本国内の東洋史学に留まらず、国際的にも評価されています。清代の歴史に対する彼の見解は、歴史学の研究に新たな視点をもたらし、多くの研究者に影響を与えました。クリティカルな視点を持った彼の著作は、研究者だけでなく、一般読者にとっても理解しやすい内容であるため、広く読まれています。

人物像

増井経夫は学問に対する情熱だけでなく、教育者としての側面でも知られています。彼は学生に知識を伝えることに力を入れ、個々の学生の成長を促す存在であり続けました。その姿勢は、彼の教え子たちからの尊敬を集め、今なお彼の影響が感じられています。

結論

増井経夫は、日本の東洋史学における重要な学者であり、多くの著書や訳書を通じて清代史の理解を深める努力を続けました。彼の研究は今後も研究者にとっての指針となり、歴史の学びを深めるための貴重な資産として残ります。

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