増田繁幸

増田繁幸（ますだ しげゆき）

増田繁幸は、1826年（文政9年）に江戸で生まれ、1896年（明治29年）に没した、幕末から明治にかけて活躍した人物です。仙台藩士として幕末の動乱期を過ごし、明治時代には官僚、銀行家、政治家として日本の近代化に貢献しました。

生い立ちと藩士としての活動

増田繁幸は、仙台藩の重臣であった増田繁育の三男として生まれました。幼名は斎、後に繁幸と名乗ります。父の自刃後、兄が家督を継ぎますが、増田は文武両道に励み、嘉永3年（1850年）には諸国を巡って志士と交流しました。万延元年（1860年）には兄の養子となり、ロシアの脅威を警戒して樺太を視察しようとしますが、病のため断念しました。

その後、養父の病により家席を勤め、武頭、脇番頭、軍事出兵二の手副長など、藩の要職を歴任します。

戊辰戦争と新政府への謝罪

慶応4年（1868年）、戊辰戦争が勃発すると、増田は参政事務・山中七ケ宿口参謀として活躍しました。当初、藩論が定まらない中、増田は勤皇を主張しましたが、受け入れられず白河口の戦いで敗北します。しかし、宇和島藩からの説得を受け、仙台藩は新政府に降伏することを決定。増田は使者として二本松官軍本営へ謝罪書を提出し、藩の降伏を実現させました。

明治維新後の活躍

明治維新後、増田は新藩主伊達宗基を補佐し、執政、議事局総裁、権大参事、大参事などの要職を歴任しました。廃藩置県後は、一関県参事、水沢県権令、磐井県権令などを務め、地方行政に携わりました。また、1878年（明治11年）には、旧仙台藩士族と共に第七十七国立銀行（七十七[[銀行]]）の設立に尽力し、取締役に就任しました。さらに1879年（明治12年）には宮城県会議員に選出され、在職期間中はほとんど議長を務めました。

政治家としての活動

増田は国会開設請願運動にも参加し、宮城改進党総理、宮城政会副会長を歴任。1890年（明治23年）の第1回[[衆議院議員総選挙]]では、宮城県第1区から立候補して当選し、衆議院議員として1期を務めました。1892年（明治25年）には貴族院勅選議員に任命され、亡くなるまでその職を務めました。

人物と評価

増田繁幸は、激動の時代を生き抜き、藩士、官僚、銀行家、政治家として多方面で活躍しました。特に、戊辰戦争における新政府への謝罪使節としての役割や、地方行政、銀行設立への貢献は大きく評価されています。また、国会開設運動や衆議院議員、貴族院議員としての活動を通して、日本の近代化に尽力しました。増田の生涯は、日本の近代化を語る上で欠かせないものと言えるでしょう。

参考文献

小野寺永幸、小野寺敬子著『彗星の維新政治家増田繁幸の生涯』一関プリント社出版部、1994年。
木戸照陽編『日本帝国国会議員正伝』田中宋栄堂、1890年。
日野欽二郎『宮城県国会議員候補者列伝 : 一名・撰挙便覧』知足堂、1890年。
『宮城県百科事典』河北新報社、1982年。
『岩手百科事典 新版』岩手放送、1988年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 貴族院・参議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
衆議院・参議院編『議会制度百年史 - 衆議院議員名鑑』大蔵省印刷局、1990年。
『朝日日本歴史人物事典』朝日新聞社、1994年。

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