第1回衆議院議員総選挙

第1回衆議院議員総選挙

第1回衆議院議員総選挙は、1890年7月1日に実施された日本の歴史的な選挙であり、帝国議会においての衆議院議員を選出するための初の民選選挙です。この選挙は、1889年に制定された大日本帝国憲法及び衆議院議員選挙法に基づいて行われ、政治の在り方に大きな影響を与えました。

選挙の背景

日本における民主主義の形成は、自由民権運動や大同団結運動の影響を受けており、これらの運動を経て、政党間の複雑な関係が構築されることとなりました。主要な政党には、旧自由党系から分派した自由党、大同倶楽部、愛国公党、さらに立憲改進党や九州同志会などが含まれ、これらの政党が選挙において争いました。

選挙の実施

この選挙は、第1次山縣有朋内閣の下で行われ、合計300名の議席が改選されました。選挙制度は小選挙区制が採用され、一部には2人区制も存在しました。有権者は、直接国税を15円以上納税している満25歳以上の男性に限られ、華族や軍人の当主は選挙権を持たないとされました。選挙権を有する者の数は450,872人で、当時の総人口のわずか1.13%に過ぎませんでした。

投票方法

投票方法には、記名投票が採用され、選挙人は自らの氏名と住所を記載し、印鑑による押印が必要でした。また、一部の選挙区では連記投票が実施されました。興味深い点は、納税基準を満たさない者が資産家に養子になったり、名義変更を行うことで選挙資格を持つことが可能な状況があったことです。

選挙結果

選挙後の結果として、大成会、国民自由党、立憲自由党、立憲改進党などの様々な政党が議席を得ました。全300人中、実に191人が平民であり、最も多い職業は農業に従事していました。都市部ではわずかな票数で当選できる一方、農村部では数百票から数千票を得る必要があり、地域ごとの政治の状況が色濃く反映されました。

補欠・更正当選

選挙後、現職議員の死去や辞職に伴い補欠選挙が行われました。また、入札に関する訴訟があった場合には「更正」という制度により、当選者が裁判所の判決に基づいて変更されることもありました。これにより、選挙制度の公正性が保たれる一方で、誤解や混乱を招くこともあったため、当時の文献では慎重な扱いが求められました。

選挙後の政局

第1回衆議院議員総選挙後、九州連合同志会は改名され、旧自由党系3党や改進党との合流を目指しました。最終的に、立憲自由党が設立され、衆議院の勢力は再編されていきました。また、帝国議会の初会期には議長が選出され、政治の舞台は険しい道のりを経て進化を続けていくこととなります。

このように、第1回衆議院議員選挙は、近代日本の政治体系の形成に大きな足跡を残した重要な出来事であり、今後の選挙制度や政治のあり方に影響を与える礎となりました。

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