増田龍雨

増田龍雨（ますだ りゅうう）は、明治7年（1874年）4月7日に京都で生まれた俳人です。本名を藤太郎といい、花井姓でしたが、雷堂竜吟（岡田竜吟）の養子となりました。俳号は龍昇とも称しました。

俳句は、雪中庵雀志（斎藤雀志）と久保田万太郎に師事し、俳人としての才能を開花させました。浅草に居を構え、昭和5年（1930年）には雪中庵を継承し、その名を高めました。また、生計を立てるために、遊郭で書記としても働いていたという異色の経歴を持っています。

増田龍雨の句は、日常の風景や感情を繊細に捉え、独特のユーモアと温かさを感じさせます。その句風は、師である久保田万太郎の影響を受けつつも、独自の境地を切り開いたものとして評価されています。

代表的な句としては、辞世の句である「繭玉や霞むと見えて雪催ひ」が挙げられます。この句は、死を目前にした心境を、静かで美しい情景の中に表現しており、多くの人々の心を打ちます。

著書としては、「龍雨句集」「龍雨俳句集」「龍雨俳話」などが知られています。これらの著書を通して、増田龍雨の俳句に対する情熱や、人間味あふれる人柄に触れることができます。

増田龍雨は、昭和9年（1934年）12月3日に60歳で亡くなりましたが、その作品は今もなお多くの人々に愛され、読み継がれています。浅草の地で、俳句と遊郭の書記という二つの顔を持ちながら生きた増田龍雨の生涯は、波乱に満ちていましたが、その作品は、日本の俳句史に確かな足跡を残しています。

彼の句は、時代を超えて、人々の心に響き、俳句の魅力を伝えています。増田龍雨は、日本の俳句界において、忘れることのできない存在と言えるでしょう。

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