久保田万太郎

久保田万太郎について

久保田万太郎（くぼた まんたろう）は1889年に東京の浅草で生まれ、1963年に他界した著名な日本の小説家、劇作家、そして俳人です。彼は俳号「傘雨」、筆名「千野菊次郎」として知られ、日本芸術院会員や文化功労者としても広く名を馳せました。さらに、彼は文化勲章を受章し、位階としては従三位・勲一等に叙されています。

学生時代

久保田は市立浅草尋常高等小学校から東京都立両国高等学校へ進学しましたが、数学の成績不良により中退し、慶應義塾普通部に編入、その後文科へ進みました。在学中に出会った作家たちから多大な影響を受け、特に俳句において岡本松浜や松根東洋城に師事しました。彼は1911年に小説「朝顔」、戯曲「遊戯」を発表し、これが彼の文壇デビューのきっかけとなります。

文学・演劇活動

久保田は1912年に戯曲「暮れがた」で一躍注目を集め、以降は新劇や歌舞伎の脚色・演出に携わりました。特に新派や新劇の演出家として多くの作品に関与し、浅草を舞台にした作品には独特の江戸情緒が表現されています。また、1927年には処女句集『道芝』を刊行し、俳句でも高い評価を得ました。

戦争とその後

第二次世界大戦を経て、久保田は戦後も文化活動を続け、1946年に俳句誌『春燈』を創刊しました。同年、日本芸術院に入会し、以降も多くの文学賞の選考委員や講師として活動しました。1957年には文化勲章を受章し、その名声は確固たるものとなります。

生涯と死

彼の晩年には、文学活動と並行して国内外の文化交流にも力を入れていましたが、1963年に急死しました。享年73。葬儀は築地本願寺で営まれ、多くの人々に惜しまれながら埋葬されました。彼の作品は、今なお多くの人々に読み継がれています。

句作の特徴

久保田の俳句は江戸情緒が豊かで、日常生活に根ざした余情深い表現が特徴です。代表作には「神田川祭の中をながれけり」や「湯豆腐やいのちのはてのうすあかり」などがあります。特に、彼は俳句をただの余技としてではなく、深い感情を表現する手段と捉えていました。

まとめ

久保田万太郎は、浅草という地域を背景にしながら、日本文学と演劇に精力的に貢献してきた作家です。その作品は時代を超えて今も多くの人々に愛されています。

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