墾田

墾田（こんでん）について

墾田とは、日本の律令時代において新たに開発された田地を指します。この制度は、特に農業の生産性を向上させるために設けられたもので、開墾者にとっては重要な資産でした。律令制の下では、開墾者はその開発した土地に対し、一代限りの耕作権を持つことが認められていました。このことにより、彼らは与えられた口分田以外の土地を耕作することができ、結果として収入の増加が見込まれました。

概要と制度

墾田を取得するためには、開墾者は国に対して開墾計画を提出し、実際の耕作が行われていることが確認される必要がありました。この確認作業により、初めてその土地は墾田として認識されました。国司もまた開墾を積極的に行い、そのようにして得られた墾田は、任期終了後に国家に戻されることとなりました。ただし、国司は自らの役割として国内での開墾を促進する立場にあり、農業開発が重要視されていました。

墾田は、口分田やその他の輸租田と同様に、田租を朝廷へ納める必要があったため、経済的な価値が高いものでした。これにより、農業生産力の向上が期待されていました。

繁栄と課題

律令制が導入されることで公地公民制が確立され、口分田の班給により農業生産は向上しましたが、8世紀初頭には人口増加に伴い口分田の不足が顕著になってきました。これを受けて、政府は墾田の開発を一層進めるため、開墾を奨励する政策を実施しました。

開墾の推進

722年、養老6年には「百万町歩開墾計画」が発令されましたが、実行には至らず、すぐに取り止められました。翌723年には「三世一身法」が制定され、灌漑設備を整備し墾田を開発することで、その土地の耕作権を三代まで私有できることが認められました。この法令は、開墾の動機付けとなり、農民たちのやる気を引き出しました。

743年には「墾田永年私財法」が成立し、認可された墾田に対して永続的な耕作権の私有が認められるようになりました。この制度においては、朝廷から認可を受けた土地には、收公の心配がなくなったため、農民たちにとって大きな安心感がもたらされました。

749年には、寺院に対する墾田の開発を許可する命令が出され、寺院も農地を増やすことができるようになりました。さらに自然災害などにより荒廃した耕作地を再び開墾するために、国司がその裁量で田租の減免を認める措置が取られ、これもまた全国に広がりました。

まとめ

このように、墾田制度は律令時代の日本における農業の発展に寄与し、農民たちに新たな機会を提供しました。開墾者たちは土地を開発することで、経済的な基盤を築き、世代を超える権利を獲得することができました。本制度は、その後の日本の農業政策や土地制度に多大な影響を与えたと考えられています。

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