輸租田

輸租田と不輸租田の概要

輸租田とは、律令制のもとで設けられた田地の分類の一つであり、特定の収穫物の一部を国家に納めることが義務づけられた田地を指します。それに対して不輸租田は、田の領主がその年貢を直接受け取ることができ、国に対しては田租を納める必要のない田地です。これらの田地の区分は、時期によって変わることがあります。

輸租田の種類

輸租田には、以下のような種類が含まれます：

• - 口分田（班田）
• - 位田
• - 功田
• - 賜田
• - 国造田
• - 郡司職田
• - 墾田

これらの種類の田地は、農業や社会の役割に基づき、徴税の対象となることが定められていました。

不輸租田の種類

一方、不輸租田には次のようなものが含まれます：

• - 職田
• - 公廨田
• - 駅起田
• - 官田
• - 寺田
• - 神田
• - 釆女田

不輸租田は、税金を納めることなく、領主が自由にその収穫を享受できる田地です。

田租の徴収と変更

田租の制度は、大宝律令のもとで定められたもので、最初は1段につき2束2把とされていましたが、その後、慶雲3年の格において1束5把に改定されます。このように改正されても、実際の量はほぼ変わらなかったとされています。

毎年、稲の収穫が終わる9月から11月の間に、輸租田から国家に対して田租が納入されていました。これに関連して、正税と出挙も併せて課せられました。

輸地子田の存在

輸地子田とは、田租を納めずに地子を納める田地で、乗田や無主田、収公田などがこれに該当します。このような田地は、輸租田や不輸租田とは異なる取り扱いがされていました。

班田制の衰退とともに、田地の課税方法も変化を遂げ、輸租田や輸地子田のなかで、田租と地子が租穀として統一的に把握されるようになります。この租穀は、基準として1段につき3斗（6束に相当）と定められましたが、実際の賦課は一定ではありませんでした。

11世紀以降の賦課基準

11世紀になると、公田官物率法という新たな賦課基準が導入されます。この基準は、税制の見直しに伴い、より明確な取り決めを意図していました。

荘園と権門の影響

荘園内にあっても、輸租田に該当する田地には田租が徴収されていました。ただし、10世紀に入ると、権門は太政官符や民部省符の認定を受け、多くの田に不輸の権利を獲得しました。このようにして、不輸租田としての扱いを受けるようになります。この状況は官省符荘と呼ばれ、国家の徴税システムに大きな影響を与えました。

輸租田の復活を目的として制定された施策が荘園整理令です。これにより、農地の管理や課税方法の見直しが行われていくことになります。

まとめ

輸租田と不輸租田は、律令制のなかでの重要な土地制度として、社会経済の基盤に深く根ざしています。税制の変化や権門の影響は、当時の農業と社会構造に多大な影響を及ぼし、現代にもその影響が残っています。

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