壊血病

壊血病（かいけつびょう）

壊血病とは、ビタミンC（アスコルビン酸）の不足により引き起こされる病気で、体内のさまざまな器官に出血性の障害が生じることが特徴です。この病気は、特に成人と子どもで異なる症状が現れるため、注意が必要です。

原因

壊血病の主な原因は、ビタミンCの欠乏です。ビタミンCは、ヒドロキシプロリンというアミノ酸の合成に欠かせず、コラーゲンや骨の組織形成に必要不可欠な栄養素です。したがって、このビタミンが不足すると、血管や軟部組織の損傷が生じやすくなります。

症状

成人

成人においては、ビタミンCの濃度が500mgを下回ると、脱力感や体重減少、筋肉痛、関節痛などの症状が現れます。さらに、皮膚や粘膜からの出血や歯肉の脱落、毛包性の過角化や創傷治癒の遅れといった症状が観察されます。これらの症状は、高度なビタミンC欠乏状態が継続することで発生し、歴史的には長期航海に従事していた船員に多く見られました。

小児

特に6カ月から12カ月の小児には特有の症状が見られ、メレル・バロウ病と呼ばれることもあります。これには軟骨や骨境界部での出血、骨の発達不良、歯の成長障害などが含まれます。

歴史

壊血病は古代から知られ、特に15世紀末の大航海時代に注目を浴びます。当時、長期間の航海が求められたため、船員は新鮮な食材を食べる機会が減少し、慢性的なビタミンC欠乏に陥りました。医療知識が発展するまで、壊血病とビタミンCの関連性は認識されておらず、その発症を防ぐための実践的対策は試行錯誤の連続でした。

1768年には、探検家ジェームズ・クックが壊血病防止に取り組み、食生活の改善や新鮮な食品の補給を重視しました。彼の航海の中で、乗員の健康状態が改善したことが知られています。さらに、この問題に対する対策が整備されるにつれ、柑橘類の有効性が徐々に認識されるようになりました。

19世紀に入ると、ビタミンCの存在が確認されるようになり、ハンガリーのセント＝ジェルジ・アルベルトがこの物質を初めて単離しました。やがて、ビタミンCの化学的合成も可能になり、壊血病との戦いは大きく前進します。

現代の状況

現代では、新鮮な果物や野菜を日常的に摂取することが可能な環境が整っており、壊血病は基本的には発生していないと思われます。しかし、偏った食生活やストレス、飲酒、喫煙などによってビタミンCの不足が生じることがあるため、依然として注意が必要です。実際に、先進国でも壊血病の患者が報告されることがあり、特に新鮮な食材をあまり摂取していない人や、高齢者に多く見られます。

まとめ

壊血病は、ビタミンC不足から生じる病気であり、現代では予防策が確立されていますが、生活習慣の乱れによって依然として罹患リスクが存在します。物質としてのビタミンCが発見され、理解されることでこの病気の予防が可能となりましたが、健康的な食生活の維持が長期的には重要です。

もう一度検索