壱岐 (戦艦)

戦艦壱岐の歴史

壱岐（いき）は、かつてのロシア帝国の艦隊装甲艦「インペラートル・ニコライ1世」が日本海軍に編入された後、名を変えたもので、日本海軍の戦艦としてその歴史を刻みました。艦名はその由来である旧国名「壱岐国」にちなんでおり、艦は1915年10月4日に標的艦として撃沈処分されるまで波乱に富んだ歴史を歩みました。

壱岐の起源と軍艦時代

壱岐の起源はロシア帝国にさかのぼります。艦は1886年3月8日にサンクトペテルブルクで建造が始まり、1889年5月20日に進水、1891年5月13日に竣工しました。この艦は、ロシア海軍のバルチック艦隊に所属し、日露戦争において最前線で戦った実績があります。

1905年、バルチック艦隊は日本海軍と遭遇し、いわゆる「日本海海戦」として知られる戦闘が展開されます。この戦闘で、壱岐は指揮官のニコライ・ネボガトフ少将の旗艦として参加し、戦局に身を投じました。しかし、艦隊は日本の連合艦隊に包囲され、戦闘の結果、ネボガトフ提督は降伏することを余儀なくされました。

日本海軍への編入

戦後、艦は日本海軍に捕獲され、6月6日に「壱岐」として改名され、軍艦籍に編入されました。壱岐は二等戦艦として横須賀鎮守府に配置され、1915年には一等海防艦に類別されます。この艦は、海軍の重要な役割を果たし続けることを目的に整備が施されました。

同年10月23日には、東京湾での観艦式にも参加。元々ロシア海軍の艦艇としての逆境から、日本の艦隊の一員として新たな歴史を歩む瞬間でもありました。

最期の運命

しかし、壱岐の運命は1915年の5月1日に除籍されることが決定しました。これは艦の老朽化と旧式化によるものでした。そして、10月4日、伊勢湾沖で実弾射撃の標的として使用される運命を迎えます。裕仁親王（後の昭和天皇）や海軍元帥東郷平八郎が見守る中、金剛型巡洋戦艦からの射撃により、壱岐は午前中に右舷に傾き、短い時間で沈没しました。

このように、壱岐の歴史はロシア帝国の海軍艦艇から始まり、日本陸海軍に捕獲され、再利用され、最終的には日本海軍の一時代を象徴する艦艇となり、波乱に満ちた運命を閉じることになります。

年表

• - 1886年3月8日: サンクトペテルブルクで起工。
• - 1889年5月20日: 進水。
• - 1891年5月13日: 竣工し、バルト艦隊に編入。
• - 1904年11月3日: バルチック艦隊に編入され出航。
• - 1905年5月27日: 日本海海戦に参戦。
• - 1905年6月6日: 戦利艦として「壱岐」と命名。
• - 1915年5月1日: 除籍。
• - 1915年10月4日: 撃沈処分。

壱岐の歴史は、日本海軍の艦艇の中でも特に思い出深いものであり、当時の艦隊戦の中で何が起こったのかを振り返る良き資料ともなっています。

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