壱岐市立鯨伏中学校

壱岐市立鯨伏中学校の歴史と特徴

壱岐市立鯨伏中学校（いきしりついさふしちゅうがっこう）は、長崎県壱岐市に存在した公立中学校であり、2011年に閉校するまでの間、地域に多大な影響を与えてきました。その歴史は1947年、学制改革に伴い設立された「鯨伏村立鯨伏中学校」に遡ります。当校は、旧勝本町内での教育機関として地域に密着し、学び舎としての役割を果たしていました。

校章と校歌の制定

1991年には校章が制定され、地域の3つの地区（立石・布気・本宮）を逆三角形の形で象徴するデザインが採用されました。また、校名「鯨伏」を表す「イ」と「サ」の文字が組み合わされ、その中央に「中」の字が配置されています。

さらに、1970年には校歌が制定され、作詞・作曲を手がけたのは地元の山口藻人氏です。この校歌には4番まであり、特に3番の最後には校名「鯨中」が登場しています。以前は、鯨伏小学校と同じ校歌が用いられていた時期もありました。

校区と制服

鯨伏中学校の校区は、勝本町の「立石南触」や「百合畑触」を含む多様な地域にわたります。この校区には、地域の子どもたちが通っていた壱岐市立鯨伏小学校もあります。また、学生たちの制服は、男子は学ラン、女子はセーラー服というデザインでした。

学校の歩み

当校は、1947年の開校から始まり、次第に校舎や施設の整備が進められました。1949年には本宮南触に新しい校舎が完成し、1953年には校内放送設備が導入されるなど、教育環境が一層充実しました。1955年には町村合併により「勝本町立鯨伏中学校」に改称され、この名称での運営が続きました。

1960年代には生徒数の増加が見られ、最大263名を記録しました。体育祭や文化祭などの学校行事も盛況に行われ、特に女子ソフトボール部は、長崎県中学校総合体育大会での優勝を果たすなど、その活動が注目を集めました。

1983年には男子バレーボール部が県大会で優勝を果たし、さらなる名声を得ることとなります。学校は、地域の子供たちにとって大切な教育の場であると同時に、地域社会とのつながりも強い存在でした。

統合と閉校

しかし、2008年に壱岐市教育委員会が学校統廃合計画を発表し、2011年には壱岐市立勝本中学校に統合される形で閉校となりました。閉校時の生徒数は30名であり、64年の歴史に幕を下ろしました。

跡地の利用

閉校後、2017年には、旧鯨伏中学校の跡地に介護福祉士を養成する専門学校が開校しました。その際、耐震工事などの改修が施され、新たな教育の場として生まれ変わりました。しかし、2021年には老朽化した体育館が解体されるなど、変化の速い時代の流れを感じさせられます。

地域に残る記憶

周囲には湯本郵便局や壱岐市立鯨伏小学校などの施設が点在し、教育の伝統が受け継がれています。また、観世音寺や温泉地も近くにあり、多くの訪問者に恵まれた環境でした。鯨伏中学校での思い出は、今も多くの卒業生によって語り継がれています。

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